TikTok側は否定せず「証拠が示されていない」とだけコメント

TikTok、中絶/銃規制/宗教などユーザーの意見データを収集か。米司法省が発表

Image:Rokas Tenys/Shutterstock

米国でショート動画共有アプリTikTokを所有する中国ByteDanceに「売却か、米国内で使用禁止か」を迫る法律が成立してから、約3か月が経過した。ByteDance側は事実上の禁止法を不服として米政府を提訴していたが、司法省はTikTokが中絶、銃規制、宗教などユーザーの意見に関するデータを収集していたとして却下を求めている。

TikTokへの逆風は米国だけに留まるものではない。EUでも動画視聴に対してギフト券などを提供することが「タバコと同じぐらい中毒性がある」として禁止を警告され、その直後に報酬サービスを一時停止。さらに欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、このアプリを「危険」と評していた

The Wall Street Journalの報道によると、TikTokはセンシティブな話題につきユーザーの意見に関するデータを収集しており、そこには銃規制、中絶、宗教が含まれていたという。

司法省は米DC巡回区控訴裁判所に提出した文書の1つで、TikTokの社内通信システムLarkの検索ツールが「米国と中国のByteDanceとTikTokの従業員が、ユーザーのコンテンツや表現に基づき、大量のユーザー情報を集めることを可能にした」と述べている。

さらに同省は、それらデータが米国ユーザーをコンテンツ操作の対象にするために利用されたり、機密情報が中国内のサーバーに保存される可能性があると主張している。Larkにより大量の米国ユーザーデータが中国に送られて保存され、中国内のByteDance従業員がそれらにアクセスできたとのことだ。

TikTok側はこれらの疑いを否定せず、ただ米政府が「自らの主張の証拠を提示したことがない」つまり証明されていない、と述べているだけだ。

全世界の若者に人気のTikTokは、ユーザーの支持も根強く、一時は規制も難しいとみられていた。だが、米下院で禁止法案が審議されるさいに、約1億7000万人のユーザーに法案に反対するようプッシュ通知を送ったことで、自らプロパガンダの危険性を証明してしまい、全会一致で可決される逆効果を呼んでいた

TikTokは「法廷で勝利すると確信している」と述べているが、どのような切り札があるのか興味深いところだ。

関連キーワード: