しかもエラーで使えないオマケ付き
CrowdStrike、全世界的なWindows障害を起こした詫びにギフトカード約10ドルを贈る
先週末、全世界の何百万台ものWindows PCをアップデートの失敗でBoSD(ブルースクリーン・オブ・デス)へと追いやったサイバーセキュリティ企業CrowdStrikeは、詫びとしてパートナーに約10ドル(約1600円)のUber Eatsギフトカードを贈っていた。しかも、Uber Eatsに詐欺とみなされ無効にされるオマケ付きである。
米TechCrunchへの情報提供者は、CrowdStrikeからギフトカードを提供するとのメールを受け取ったという。CrowdStrikeのメールアドレスから、同社のCOOであるダニエル・バーナード氏の名義で送られていたとのこと。
メールのスクリーンショットでは、事故を引き起こした「追加の作業」(アップデート)につき「感謝と、ご迷惑をおかけしたお詫びをお送りする」とある。さらには「感謝の気持ちを込めて、コーヒーをもう1杯か深夜のスナックを振る舞おう」とも述べ、Uber Eatsのギフトカードが添付されていた。影響の甚大さや深刻さから考えれば、口調があまりに軽すぎる印象もある。
別のX(旧Twitter)ユーザーは、英国で7.75ポンド、米ドルで約10ドルだったと報告している。
話はこれで終わりではない。詫びギフトカードにつき投稿した人々のなかには、利用しようとすると「クーポンはキャンセルされた」とのエラーメッセージが表示されたと伝える声もあった。TechCrunchが確認したところ、Uber Eatsのページに「発行者によりキャンセルされ、もはや無効」というエラーが出たとのことだ。
CrowdStrike広報は、同社がギフトカードを送ったことが事実だと認めた。「この状況のもと顧客を支援している我々のチームメイトやパートナーにこれらのカードを送った。Uber側は利用頻度が高かったため、詐欺としてフラグを立てた」とのメールで回答したという。
約850万台に影響が及んだ障害は収束に向かっているものの、まだ完全に解決したわけではない。
不具合のあるアップデートを受信したWindowsデバイスはBoSDに見舞われたばかりか、再起動を繰り返し、それら機器が政府や大手企業、医療機関や交通機関などインフラや基幹産業の要となっていたため、「全てのWindowsマシンの1%未満」から被害が広い範囲に波及したしだいだ。
すでにマイクロソフトはリカバリーツールを配布しているが、一括してネットワークインストールできるわけではなく、1台ずつUSBメモリーを挿して作業する必要がある。最近ではブルースクリーンに見舞われる事態が希であり、ユーザーが自らPCのリカバリーをする機会も減っていただけに、現場での混乱も推して知るべしだろう。
またCrowdStrike側はは、ジョージ・カーツCEOとショーン・ヘンリーCSOが謝罪を表明している。
カーツ氏は「CrowdStrikeの全社員が、今回の事態の重大さと影響を理解している」「顧客とパートナーがCrowdStrikeに寄せてくれた信頼と信用ほど、私にとって重要なものはない。この事態を解決するにあたり、このような事態がどうやって発生したのか、また、こうしたことが二度と起きないようにするための対策につき、完全な透明性を提供することを約束する」と述べている。
またヘンリー氏はLinkedinに「わが社はあなた方を失望させた」とLinkedInに投稿。「この2日間は、私にとって12年以上にわたって最も困難な48時間だった。何年もかけて点滴のように積み上げた自信が、数時間のうちにバケツのように失われ、凄まじい痛手だった」とのことだ。
これほどの深い誠意と反省が、ソーシャルゲームの“詫び石”的な少額ギフトカードで疑われないよう祈りたいところだ。
- Source: TechCrunch