今後も継続していく環境への取り組み

京都・祇園祭に再生エネルギー導入。EcoFlowのポータブル電源で実現した取り組みとは

編集部:平山洸太

祇園祭にEcoFlowポータブル電源が導入された理由に密着

ポータブル電源で知られる「EcoFlow」(エコフロー)。同社はCSR活動の一環として、京都の「祇園祭」と青森の「ねぶた祭り」に協力している。今回、祇園祭におけるポータブル電源の活用を取材する機会を得たのでレポートしていきたい。

祇園祭には千年以上の歴史があり、7月1日から1か月にわたり、さまざまな祭事が実施される。その象徴となっているのが、山鉾(やまぼこ)という山車(だし)の一種だ。祭りでは全34の山鉾が用意され、前祭と後祭に分かれて街中に設置される。

取材したのは鷹山という山鉾。組み立て(山鉾建て)の最終日だった

なお山鉾は、今年は前祭が7月10〜14日、後祭が7月18〜21日にかけて組み立てる格好。その後、山鉾は展示され、夜には駒形提灯に明かりが灯される。それぞれの最終日となる7月17日(前祭)と7月24日には、山鉾が街中を巡業する流れだ。

EcoFlowが協力しているのは、山鉾に飾り付けられた駒形提灯を、ソーラーパネル等による再生可能エネルギーで光らせるという試み。京都市の「京都発脱炭素ライフスタイル推進チーム~2050 京創ミーティング~」と連携のもと、「四条通をサステナブルのシンボルへ」プロジェクトの一環として行うという。

再生可能エネルギーを活用している山鉾は、前祭では「油天神山」、後祭では「鷹山」となる。今回取材したのは鷹山の方だ。それぞれ3日間、19時ごろから22時ごろまで提灯を点灯させる。まだ2つの山鉾のみで行われている活動ではあるが、将来的には数を増やしていきたいという思いがあるようだ。

EcoFlowのポータブル電源を活用する

具体的に再生可能エネルギーを利用する仕組みとしては、昼間にEcoFlowのポータブル電源をソーラーパネルで充電し、夜に山鉾の点灯に使うというかたち。使用する製品については、EcoFlowから無償で貸し出しを行っている。

貸し出した製品は、最新モデルの「DELTA Pro 3」、および「DELTA 2 Max」と専用エクストラバッテリーのセット。ソーラーパネルは同社の160Wモデルとなっている。1つの製品を使い続けるのではなく、DELTA Pro 3とDELTA 2 Maxを1日ごとに入れ替え、使っていない間に充電しているのだという。天候不良でソーラーパネルから充電できないときは、再生可能エネルギーを電源としてプランを契約している協力店舗(パタゴニア 京都など)でAC充電しているとのこと。

DELTA 3 Pro(手前左)と160Wのソーラーパネル(奥)

今回の再生可能エネルギー計画を推進している、一般社団法人祇園祭ごみゼロ大作戦 再エネ担当の井上和彦氏によると、一晩で消費するバッテリー容量は半分程度とのこと。ちなみに、Delta 3 ProもDelta 2 Max+拡張バッテリーも、どちらの組み合わせも容量は4,096Wh。鷹山の山鉾に取り付けられている提灯は、ざっと70個超にもおよぶが、昨年も問題なかったそうだ。

左から、公益財団法人鷹山保存会 理事長 山田純司氏、一般社団法人祇園祭ごみゼロ大作戦 再エネ担当 井上和彦氏、EcoFlow Technology Japan株式会社 PR & Communication 伊藤麗雅氏

公益財団法人鷹山保存会の理事長である山田純司氏も、今回の取り組みについて「良いチャンス」であると語る。世界的に知られている祇園祭のなかで、再生エネルギーの活用をアピールして行きたいという。また「これだけの提灯を点けていて、途中で切れへん」とのことで、EcoFlowのポータブル電源を高く評価しているようだ。

公益財団法人鷹山保存会 理事長 山田純司氏

山鉾に再生エネルギーを活用するという取り組み自体は、2年前の2022年から行われている。実は、鷹山は1826年に大風雨の被害を受けて中止されていたが、約200年の時を経て2022年に蘇った山鉾だ。そして、復活と同時に再生エネルギーを取り入れた。なお、EcoFlowのポータブル電源を使い始めたのは昨年からで、初回は電気自動車から電力供給していたものの、車の置き場所などに苦労したという。

鷹山に用いられている提灯の光源は、復活当初の時点で、省電力なLED電球を導入。情緒のある色を出せるようにLED電球の機種選定にもこだわったそうだ。現在は白熱電球を使う山鉾が多いらしく、LED電球と比べて消費電力が高いため、すぐにポータブル電源を導入できない側面もあるという。余談だが、昔はろうそくを使っていたとのこと。

提灯の光源はLED電球となっている

意外だったのが、ポータブル電源の導入はEcoFlow側から持ちかけたものではないこと。ねぶた祭りでの取り組みを聞き、最終的にEcoFlow側に問い合わせた結果、同社による無償協力が実現したという。また、ねぶた祭りの取り組みについても、日立連合の担当者から連絡があって始まったものだと、EcoFlowの担当者は話していた。

ちなみに山鉾は全部で34個あるが、そのうち今回の取り組みを行っているのは2つのみ。ほとんどの山鉾では現状、コンセントから通常の商用電源を利用している。だが井上氏によると、全ての山鉾を取りまとめている祇園祭山鉾連合会でアンケートしたところ、全34のうち「半分くらいが興味ある」と答えたという。

提灯が点灯している様子

井上氏も山田氏も、祇園祭における今回の取り組みを、今後も続けていきたいと話す。もちろんEcoFlow側も可能な限り協力していきたいそう。すべての山鉾で再生可能エネルギーを活用するには時間がかかるかもしれないが、今後の展開を期待したいところだ。

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