ペンギンのほうは渦巻銀河ですが、相互作用で歪んでいます
宇宙に漂う「ペンギン銀河」「タマゴ銀河」公開。ウェッブ望遠鏡の科学観測2周年
NASAはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の科学観測開始2周年を記念して、この宇宙望遠鏡が撮影した、宇宙にたたずむペンギンとその傍らにあるタマゴのような、2つの銀河の画像を公開した。
この画像に見えるペンギンはNGC 2936、タマゴのほうはNGC 2937と呼ばれ、2500万年前から7500万年前ごろに互いのそばを通過したことで相互作用が生じ、特にペンギンの側で花火が開くかのように、年間100~200の新しい星が形成されている。ちなみにわれわれが属する天の川銀河では、年間6~7個程度しか新しい星が誕生していない。
ふたつの銀河が接近すると、どちらか片方がもう一方の銀河を飲み込んでしまうこともある。だが、この2つの銀河はほぼ同じ質量を持っているため、相互作用しつつも互いに維持されている。ただし数億年後には、ひとつの銀河に融合すると考えられている。
この画像はウェッブ望遠鏡が搭載するNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中赤外線装置)の観測データを組み合わせて得られたもので、星とガスが混ざり合って生じた、逆さのUの字の形をしたもやのような光で、ペンギンとタマゴが互いにつながっている。
この画像はペンギンとタマゴが主役だが、その背景には無数の銀河が映り込んでいるのもよくわかる。NASAはこれこそが「ウェッブの赤外線カメラの感度と解像度の証」だと述べた。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は開発コストの高騰と精度が要求される組み立ての難しさから、予定よりも10年以上も遅れながらも2021年に打ち上げられ、2022年に科学観測を開始、同年7月には、それまでで最も遠い銀河の画像を取得することにも成功している。
ちなみに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のウェブサイトではハッブルが可視光で捉えた「ペンギンとタマゴ」の画像との比較も示している。