Apple Intelligence人気を後追い

Androidスマホメーカー、AI競争でアップルからシェア奪還の準備中か

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アップルが6月のWWDCにて「Apple Intelligence」を発表するまでは、同社が生成AIの分野で遅れていると一般的に考えられていた。だが一部のAndroidスマートフォン・メーカーはさらに遅れており、アップルの後に続くつもりだとの観測が報じられている。

Apple Intelligenceへの反響に手ごたえを得たアップルが、次期「iPhone 16」シリーズの高い需要を確信していることは複数の情報源が伝えていた。「A18」シリーズチップが最大1億個を量産するとのサプライチェーン情報や、iPhone 15シリーズより初期出荷を10%増やすとのBloomberg報道もあった。

台湾の電子業界誌DigiTimesによると、アップルがiPhone 16シリーズの発注を増やしたことで、2024年内のフラグシップ・スマートフォン市場での競争が激化するという。

特にAndroid陣営はAIブームに乗って、近年アップルに奪われた市場シェアを取り戻したいと考えており、そのため「AIフラグシップモデルを大々的に宣伝する」準備ができているとのことだ。

主要Androidブランドは、チップの備蓄を進めつつ「AI機能の導入と革新を通じて自社スマートフォンをより魅力的なものにする」ことに注力しているという。これはアップルがAI分野への大規模な進出を宣言し、AI機能が消費者にアピールすると実証した後、最優先事項となっていると伝えている。

このレポートは、クアルコムやMediaTekといった主要SoCサプライヤーがチップ在庫を貯め込んでいるとも報じている。AI機能をサポートし、より低い消費電力で高いコンピューティングパワーを提供するものだ。

しかし、高性能・低消費電力のAIチップには、製造コストの高騰も伴いやすい。これらの多くはTSMCの3nmプロセスにより製造される見通しだが、需要殺到もあって最大10%値上げするとの噂もある。また著名アナリストMing-Chi Kuo氏もクアルコムの次期フラッグシップ向けチップ「Snapdragon 8 Gen 4」も前Gen 3から最大30%値上げになる可能性があると主張している

これまでフラッグシップAndroid向けチップで一強だったクアルコムのライバルとなるのが、安価かつ高性能なチップを送り出しているMediaTekだ。自社スマホで2世代にわたりクアルコム製チップを採用したNothing社も、Phone(2a)やCMF Phone 1といった廉価モデルではMediaTekを選んでいる。

Apple Intelligenceは、一方ではiPhoneとAndroid陣営の競争を、もう一方ではクアルコムとMediaTekというAndroid向けチップメーカーのシェア争いを激化させるのかもしれない。