排出するのは水だけ

Joby、水素燃料電池式eVTOLの840km連続飛行に成功。「都市間エアタクシー」実現へ一歩

Image:Joby Aviation

航空ベンチャー企業Joby Aviationは、液体水素燃料電池と水素電気推進システムを搭載するプロトタイプのeVTOLの試験飛行において、523マイル(約840km)の連続飛行を完了した

試験飛行を行ったプロトタイプ機は、これまでJobyが開発してきたバッテリー式のeVTOLに最大容量40kgの液体水素タンクを搭載したものだ。エネルギー源となる水素はこのタンクから燃料電池システムに送られ、そこで電気と水、熱を生成する。そのうち電気はeVTOLの6つのローターを駆動して機体を空中に保ち、推進力となる。一方、もともと搭載しているバッテリーは着陸時に追加で必要となる電力の供給元として利用される仕組みになっている。

Jobyの創設者兼CEOであるJoeBen Bevirt氏は「電気エアタクシーが都市間の移動方法を根本的に変える」とし、「空港に行く必要もなく、水以外の排気ガスも出さずに飛ぶことができる」水素燃料電池式eVTOLの利点をアピール。そして、「バッテリー式eVTOLで完成させた設計、テスト、認証作業の大部分は、水素電気飛行の商用化に引き継がれる」と述べた。

2023年、Jobyは早ければ2024年にeVTOLを顧客に出荷し、2025年にエアタクシーの商業運行を開始したいと述べていた

しかし、バッテリー式のeVTOLは充電が必要になるまでの移動距離が100マイル(約160km)に制限されるため、長距離移動には使えない。今回の試験飛行は、排出ガスを全く出さない都市間のエアタクシー事業の実現可能性を示すものになったと言えそうだ。なおJobyは、試験飛行後に着陸した機体にはまだ水素燃料が10%ほど残っていたと述べている。

ちなみに、自動車の分野でも最近はバッテリーだけでなく水素の可能性が拡大しているが、課題とされるのは、いかにして持続可能な方法で液体水素を入手可能にするかというところだ。現在の水素の製造過程ではCO2が排出されるため、持続可能な水素製造を目指す研究開発が、各国で行われている

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