また大金持ちのコレクター達が札束で殴り合う?

幻の「Nintendo PlayStation」用コントローラーがオークションに出品。8月から入札開始

今から数年前、「Nintendo PlayStation」の試作機がオークションに出品され、最終的に36万ドルで落札されていた。任天堂とソニーの提携により開発されながら、諸事情から世に出ることがなかった幻のゲームハードである。

その本体ではないが、史上2番目に見つかった試作機用コントローラーが8月にオークションに掛けられる予定だ。

Nintendo PlayStationは、ソニーがゲームハード市場への参入に踏み切る最初の一歩だった。今でこそゲームプラットフォームの覇権を争う任天堂とソニーだが、かつては「スーパーファミコンを作るメーカー」と「音源チップを供給する部品メーカー」という間柄だった。

そこから両社はスーファミ用CD-ROMアダプタの共同開発を始めるに至ったが、1991年に任天堂がCD-ROMドライブをフィリップスと共同開発すると発表したため破談に終わる。その背信に反発した久夛良木健氏が、ソニー独自のゲーム機開発プロジェクトを立ち上げ、CD-ROMアダプタの名前だった「PlayStation」を流用したという逸話は広く知られている。

Nintendo PlayStationの試作機は約200台作られたものの、すべて廃棄されたと思われていた。が、そのうち1台が2015年に発掘され、最終的に「Pets.com」等の創業者であるグレッグ・マクレモア氏がOculus創業者のパルマー・ラッキー氏らと競り合って手に入れた次第だ。

大手オークションサイトHeritageは、この任天堂版PlayStation用コントローラーの出所を明らかにしていない。が、そこにはお馴染みのスーファミ用コントローラーに「Sony Playstation」と記されている。

商品説明によると、試作コントローラーは「背面にいくつかの小さなへこみ」があるものの「非常に良い状態」だという。ただし、動作をテストしようにも接続できる本体がないため、機能するかどうかは未確認である。そのため、落札者も返品は認められない。

この出品で注目されるのは、いくらで落札されるのかということだ。

たとえば2020年、『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品に11万4000ドルの値が付き「オンラインオークションで落札された最も高額なビデオゲーム」のギネス記録を更新。が、1年も経たないうちに66万ドルもの落札が記録を塗り替え、さらに別の出品が200万ドルを突破していた

それ以降も、レトロゲームのコレクターズアイテム人気は冷え込んでいない。今の相場感覚で振り返れば、Nintendo PlayStation試作機の本体が36万ドルとは安いとも思われ、コントローラー単品でもそれを超える可能性が否定できないだろう。

今回のオークションの入札は8月2日(米現地時間)に始まり、8月24日に終了する。おそらく永遠にゲームを遊ぶことができない歴史的な遺物にどこまで高値が付くのか、また誰が落札するのか見守りたいところだ。

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