「フィードバックにどう対応できるか、熟慮を重ね」た結果、こんなん出ました

『Apex Legends』S22よりバトルパスをシーズン前後半に2分割。購入はリアル通貨のみに

Image:EA, Respawn

エレクトロニック・アーツ(EA)は、人気バトルロイヤルFPS『Apex Legends』の次期シーズンとなるシーズン22より、バトルパスを前後スプリットで個別に設定するとともに、ゲーム内通貨での購入を禁止し、現実通貨でのみ購入可能にすることを明らかにした。

これまで、Apex Legendsの有料バトルパス「プレミアム」の価格はシーズン通しで950Apexコイン(AC、1000ACは1260円で購入可能)だった。それが、今後は現実通貨での購入に限定され、その価格は日本の場合半シーズンあたり1255円となる。また、上位の有料バトルパス「バンドル」は2800ACで購入できたが、次シーズンからは名称を「プレミアム+」に変え、半シーズンあたり2484円になる。(AC購入価格はいずれもPlayStation版。PC版は数円程度異なる)

EAは新しいバトルパスシステムをプレイヤーに体験してもらうため、シーズン22開始から2週間以内にこのゲームをプレイし、一定の課題をクリアすれば、特別にシーズン前半分の有料バトルパスをプレゼントするとしている。

バトルパスとは、ゲーム中にあらかじめ設定された様々な課題をクリアしていくことで、その段階ごとに、様々なコスメティックアイテムを入手できる課題報酬システムのこと。

毎シーズンのバトルパスで用意されるアイテムは、使用キャラクターや武器の外観を変更するスキンから、キャラクターにダンスなどの動作をさせるエモート、ゲーム開始時のスカイダイビング中に自らをアピールするダイブエモート、ロビー用BGM、キャラクターごとに用意されるセリフ音声など様々。ただ、それらはいずれも、ゲーム内でプレイヤーの優位性を高めるものではなく、あくまで装飾用のアイテムだ。

Image:EA, Respawn

Apex Legendsのようなオンラインマルチプレイゲームは、基本プレイを無料で提供する代わりに、バトルパスや個別の装飾アイテムを販売することで収益を得ている。それらはゲーム内通貨で購入する仕組みになっており、これまでは、プレイヤーはまず現実通貨をゲーム内通貨に両替してから、バトルパスや各種アイテムを購入していた。

特にバトルパスはシーズンの最初に購入すれば、ゲームプレイを繰り返して課題をクリアすることで一定数のアイテムが入手できるお得なシステムであり、プレイヤーのモチベーション維持にも役立っている。すべての課題をクリアすれば、次のシーズンのバトルパスを購入できるだけのゲーム内通貨(1300AC)を報酬として得ることもできる。

ところが、EAが発表した新たなバトルパスのルールによると、シーズン22からはゲーム内通貨によるバトルパス購入ができなくなり、現実通貨での購入しか受け付けなくなる。

さらに、バトルパスはこれまではシーズンの前半後半通しで110レベルが設定され、それらをすべてクリアすれば良かったところが、シーズン22からは前半後半で別々のバトルパスが設定され、1バトルパスあたり60レベルになる(シーズン全体で120レベル)。

ユーザーは1シーズンで2度、バトルパスを現実通貨で購入する必要が出てくる。これは、実質的にバトルパス価格が2倍に引き上げられたと言っても過言ではないだろう。

ちなみに、Apex Legendsには無料のバトルパスもある。こちらも有料と同じ課題をクリアすれば、最終的に報酬としていくつかのコスメアイテムと200ACが入手できるが、現在のApex Legendsにおいて、200ACで購入できるのはガチャ要素であるApexパック(100AC)ぐらいしかない。

Image:EA, Respawn

今回の発表に対するプレイヤーらの反応は、当然ながら圧倒的に批判的なものが多い。掲示板サイトRedditのあるユーザーは「最初はこれからはもっと頑張ってプレイしようと思った」としつつ「バトルパスがACで購入できないと知って一気にやる気をなくした」と述べている。

またあるユーザーは「これはひどい決断だ。シーズンごとに2つのバトルパスがあるのはまだ良いが、それを現実通貨での購入に変更するのはナンセンスというほかない。前回のバトルパスで獲得したコインを次のバトルパスに繰り越せることが、私がバトルパスを完了させようとするモチベーションになっていた。それは私だけではないはずだ。ともかく、今シーズンが私が行う最後のバトルパスになると思う。毎シーズン1回だとしても(現実通貨では)支払おうとは思わないのに、2回などありえない」と述べている。

Apex Legendsがサービスを開始した当初からすべてのシーズンでバトルパスをクリアしてきたというあるユーザーは「ついに辞めどきが来た。これまで21度バトルパスをこなしてきたが、これは簡単な決断だ。これからはフリーで遊ぶよ。GG!」とRedditに記した。

Apex Legendsは近年、アンチチートシステムが機能していないかのようにゲーム内、特にランクマッチで不正行為が横行し、eSportsの試合の最中にゲームがハッキングされるなどの失態が目立っている。現在のシーズンでもゲームが開始時にクラッシュする問題などが発生しているが、具体的な対策が示されていないこともあって、プレイヤー人口(Steam版)はやや減少傾向にある。

それでも、このゲーム独特のプレイのスピーディーさ、爽快さには根強い人気があり、他のバトルロイヤルFPSのいくつかが失速していく中、このゲームはリリースから5年を過ぎてなお、一定以上の人気を保ち続けている。

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