まだ大復活とは言えない段階
2014年発売のiPad Air 2で、Linux 5.18が(途中まで)起動したとの報告
もしあなたの引き出しやクローゼットの奥に古いiPadが眠っているなら、また何かの役に立つようになるチャンスがあるかもしれない。アップルが2014年に発売したiPad Air 2で、最新のLinuxカーネルv5.18の起動に成功したと、ソフトウェア開発者のKonrad Dybcio氏とLinux愛好家のquack723氏がTwitterで報告している。
2人はpostmarketOSと呼ばれる、Alpine LinuxベースのディストリビューションをiPadにインストールしたようだ。postmarketOSはAndroidデバイス向けに開発されている小規模ディストリビューションで、起動した様子を写した写真のツイートには “#checkm8” というハッシュタグが添えられている。どうやら、2019年に公開されたブートROM用のエクスプロイト(脆弱性を利用して攻撃するプログラム)のCheckm8を使って、iPadのハードウェアにアクセスしたようにみえる。
またDybcio氏らは、その後のツイートでiPhone 5Sや初代のHomePodなど、プロセッサーにアップルのA7 – A8Xを搭載したデバイスでもLinuxが起動できる可能性があると述べている。
ただ今回の作業はまだ初期段階であり、現状では「iPad上でのブート処理が動いた」というだけの段階のようだ。quack723氏がツイートした写真の画面を見れば、ファイルシステムをマウントできず、ブートプロセスがそこで停止していることがわかる。
USBやBluetoothといった、基本的な外部通信機能が機能していないとも述べており、ネットワークからオーディオ、グラフィックアクセラレーターなどを正しく動作させるのも難しい状態とのことだ。またquack723氏は「よく見るとフレームバッファの一部が正常に動作していないことがわかる」とツイートしている。
とはいえ、少なくともブートの初期段階は動作していることから、可能性がまったくないわけではない。別のプロジェクトだが、Project Sandcastleは2020年に、iPhone 7上でAndroid 10を動作させることに成功している。
iPad Air 2は8年前のデバイスのため、M1チップなどを搭載する最新のiPadと比べると、汎用のLinuxを動作させるのに向いているとは言えない。CPUの処理性能もそうだが、RAMも2GBしかないからだ。
それでも、Raspberry Piデバイスなどよりは高性能で、Linuxがきちんと動作可能になれば、最初からバッテリーを備えた簡易なホームサーバーとして、またレトロゲーム機などの用途に再び役立つようになるかもしれない。
- Source: Konrad Dybcio(Twitter) quack723(Twitter)
- via: Ars Technica