ガソリン車をターゲットにした「解放戦争」が実を結ぶ?
中国のEVメーカーBYD、6月の売上高でテスラに追いつく。テスラは出荷台数減少
中国の大手EVメーカーであるBYDは、月間のEV販売台数で新記録を打ち立て、売上高でテスラに追いついている。
Reutersによると、BYDは第2四半期のEV販売台数が42万6039台となり、売上高が前年同期比21%の増加になった。これはテスラの第2四半期の推定納車台数より約1万8000台少ないものの、前の四半期で8万6000台以上の開きがあったことを考えると、大幅に差を詰めたと言える。テスラは生産台数が前四半期に比べて2万台以上減少したが、それでもアナリストらの予測を上回る結果だった。
テスラの苦戦は、低価格モデルの改良よりも鋭利な形状で購入者の手首を切って出血させるようなステンレスボディのピックアップトラックや、ロボタクシーなどにリソースを傾注し、将来の稼ぎ頭となるはずだった2万5000ドル台の低価格モデル開発を放棄したように見えることなどが要因だと指摘されている。
BYDのEVはテスラに比べて安価であり、最近発売されたモデルである「Seagull」は米国では9700ドルからという手頃さだ。とはいえ、米国では中国に対する輸入関税により、BYDが存在感を強めるには至っていない。なお、欧州も同様の関税政策を中国産EVに対して敷いている。
BYDは、米国のガソリン車をターゲットにした「解放戦争」を打ち出し、低価格車を積極的に販売している。中国に限らず、EVの低価格化は日産リーフやヒョンデ・KONAなど中国以外の市場でも安価なEVの選択肢は増えつつあり、テスラだけがその流れに逆らって動いているようにも見える。