マシンパワー不足よりエミュの出来が悪い

PS5でPS3ゲームの後方互換性は期待薄?公式PS2エミュレーションの質から専門家が予測

Image:oasisamuel/Shutterstock.com

最近、ソニーがPS5にPS3ゲームとの下方互換性を持たせる、つまり「ディスクやダウンロードしたゲームをハードウェア上で動かせる」技術を開発しているとの噂が流れている。現在PS Plusの最上位プラン「プレミアム」ではPS3タイトルは遊べるものの、ストリーミング方式であり、表示やレスポンスは良好とは言い難い。

ちょうど先日、PlayStationストアではPS4/PS5向けに、エミュレータでプレイできるPS2ゲームの第1弾が発売されたばかりだ。これらのデキを見るかぎり、PS3後方互換性については全く期待できないとゲーム映像の専門家が指摘している。

ゲーム映像の分析で知られるDigital Foundryのスタッフは、『Tomb Raider: Legend』『怪盗スライ・クーパー』の2つを技術的に検討している。両方ともPS2のエミュレーションを公式に謳っているタイトルだ。

まず前者は、画像がぼやけて見えるが、これは解像度が低いせいではない。逆にオリジナルより少し向上しているものの、画像処理の選択ミスにより悪い結果が出ているという。

また用意されたビジュアルモードもひどく、たとえば古いテレビの見え方を再現するはずのCRTフィルタも意図を達成できていない。NTSC(60Hz/日米や韓国、北米など)とPAL(50Hz/欧州や中東など)の2種類があるが、どちらもである。

現世代機でPS2のゲームを再現するPS4エミュレータでさえこの有様のため、PS3はなおさら期待できないというわけだ。これはマシンのパワー不足ではなく、ソニーがPS2を再現するエミュレーションを正しく理解していないことが懸念材料との趣旨を述べている。

なぜPS4/PS5とPS3以前との後方互換性が問題になるかと言えば、前者のプロセッサがAMDのx86 – 64アーキテクチャに対して、後者がRISC系のためだ。つまり「PS3以前」と「PS4以降」にはソフトウェア互換性の断絶があり、エミュレーションも難度が高くなっているわけだ。

それでも初代PSとPS3/PS4の間にはマシンパワーの隔絶があり、エミュレーションの負荷がかかっても、処理能力的には問題ないはず。が、新生PS Plusでクラシックゲームを提供した直後は、解像度やフレームワークが劣悪だとの声が上がっていた

そのためか、ソニーが「旧世代ゲーム」対応に向けて専門チームを設置したのが2年も前のことだ。それから全く進展がなかったとは考えにくく、今なおPS3ソフトをPS5上でネイティブ動作できていないのは、製品の域に達していないと判断されている可能性があるのだろう。

さらに遡れば、2018年に発売されたミニゲーム機「プレイステーション クラシック」も遅延がひどいなど評判が散々だった。

他社によるレトロゲームの復刻も、開発元によって完成度にばらつきがあり、ハードウェアの性能よりも「原作ゲームに対する理解度」に大きく左右されるようだ。ソニーのエミュレーション関連スタッフも、技術以上にレトロゲーム愛が求められるのかもしれない。

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