生成AIの「配布」にとってiPhoneは魅力的
犬猿の仲のアップルとMeta、iOS 18への生成AI搭載につき協議か
アップルとMeta(旧Facebook)は、長年にわたりプライバシー保護やアプリストアをめぐり対立を続けており、決して良好な関係とは言えない。それぞれのCEOであるティム・クックとマーク・ザッカーバーグも事あるごとに批判や当てこすりを投げ合い、互いに好意的に語ったことは皆無だろう。
そんな両社が、iOS 18にMetaの生成AIを搭載することを協議しているとThe Wall Street Journalが報じている。
アップルはWWDCにてOpenAIとの提携を発表したが、それ以外にもGoogleほか複数のチャットボットAI企業と協議しているとみられている。Metaが、その候補の1つとして挙がっている形だ。
Metaとのパートナーシップは、アップルがApple IntelligenceにつきOpenAIと合意した条件と同じものになるようだ。すなわち、両社とも互いに金銭は支払わず、iPhoneを通じて有料プランに加入した場合、料金の一部をアップルが手数料として徴収する、App Storeと同様の仕組みである。
アップルとの提携でChatGPTの利用は倍増すると予想されているが、OpenAIのインフラコスト(サーバー能力の増強や運営費)は30~40%増える見通しだ。それでアップルの支払いがゼロであれば、AIサービスを提供する側に不利な取引のようにも思える。
しかし専門家によれば、Apple Intelligenceユーザーの10~20%が有料サブスクリプションにお金を払う見込みがあるという。ひいては、AI企業に数十億ドルをもたらす可能性があるとのことだ。生成AIにとってもネックとなるのは「配布」であり、iOS 18との統合は「エンゲージメントの高い配布を大規模に実現できること」だと述べられている。
アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏は、WWDCでGoogle Geminiを例の1つとして挙げ、「我々はユーザーが最終的に希望するAIモデルを選べるようにしたいと考えている」と公言していた。
それはアップルにとっては、複数の企業に競い合わせて一社に依存しないという意味でも、都合が良いのだろう。WSJの情報筋によれば、ほかPerplexity、Anthropicとも交渉しているそうだ。
Apple Intelligenceは2024年内に、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaの一部として提供される予定だ。まず米国/英語で、iPhone 15 Proモデル、M1チップ以降のiPadとMacモデルで利用可能になる。その他の言語や地域でのサポートは、時間をかけて徐々に展開される予定だ。
- Source: The Wall Street Journal
- via: Engadget