1300本以上を合法的にプレイ可能
iPhone/iPad、初のゲームストリーミングアプリ「Antstream Arcade」App Storeに登場
イギリスのAntstreamは、1300本以上のゲームが遊べる「Antstream Arcade」のiOS/iPadOS版を27日からApp Storeでリリースすると発表した。iPhoneやiPad向けとしては初めて、ゲームストリーミングアプリがApp Storeで配信されることになる。
すでにAntstreamはXboxやWindows、Androidなど複数のプラットフォームで提供中である。数年遅れのiOS/iPad版リリースは、おそらく今年初めのApp Storeでの規制緩和を受けてのことだろう。
以前からiPhoneでのゲームストリーミングサービス提供は、一応は可能だった。が、アップルは「個別のゲームごとにクライアント用アプリをApp Storeでダウンロードさせる」「個別のゲームごとに、更新するたびApp Storeの審査を通す」「個別のゲームごとにApp Storeページを作りユーザーレビュー可能とする」ことを義務づけており、マイクロソフトもXbox Cloud Gamingアプリの提供を断念していた経緯がある。
それが規制緩和後は「カタログにあるすべてのゲームをストリーミングできる単一のアプリ」を提出できるようになり、リリース前後の煩雑な手間が取り除かれたわけだ。
このAntstreamで遊べるゲームは莫大ながらも、ゲームボーイは5本、初代PlayStationは2本、スーパーファミコンは42本しかない。家庭用ゲーム機としてはAtari 2600、コモドール64、ZX Spectrumなど海外に偏っており、日本のレトロゲーマーが手を出しても肩透かしとなる可能性が高い。
その一方で、『餓狼伝説』シリーズなどSNKタイトルや、『Renegade』(海外版『熱血硬派くにおくん』)や『ダブルドラゴン』、国内ではなかなか復刻されない『エドワードランディ』といったアーケードタイトルはすこぶる充実。80~90年代にゲームセンターに通い詰めたコアなファンであれば、懐かしい気分に浸れそうだ。
現在、DeltaやRetroArch、PPPSPなど優れたレトロゲーム・エミュレータはいくつも出ている。とはいえ、これらはROMデータ(ゲームプログラム)が含まれておらず、ユーザーが別途、かつ合法的に入手する必要がある。
その点、Antstreamは全てのゲームを正式にライセンスされており、法的な問題はクリアしている。ユーザーは後ろ暗い思いをすることも、所有しているカートリッジからデータを吸い出す手間を掛けることもなく、ただアプリをダウンロードするだけで直ぐにプレイできるメリットは大きい。
ただし、デメリットもなくはない。たとえばXbox版では、コントローラーのボタン配置が変更できない、検索機能が貧弱、途中セーブが不安定、画面が時折カクつくなどが指摘されていた。これらはApp Store版では修正されているのかもしれない。
Antstreamは定額制のサブスクリプションで、iOS/iPadOS版は期間限定で月額3.99ドル(約637円)または年額29.99ドル(約4800円)。他プラットフォーム用の月額4.99ドル/年額39.99ドルよりも、わずかに割安である。