ニンテンドーDS、ゲームボーイの源流

「米国初の任天堂製品のCM」とされる映像が公開。Time Out(ゲーム&ウォッチ)を“電子スポーツ”と表現

Image : The Video Game History Foundation

米国のビデオゲーム歴史保存協会(Video Game History Foundation : VGHF)は、「米国における任天堂製品の最初のCMと思われる」映像をYouTubeに公開した。

これは1980年代前半にNintendo of Americaと提携し、米国で任天堂の『ゲーム&ウォッチ』シリーズを発売したMegoと呼ばれる企業が製作したもので、「Time Out」というブランド名で『Toss-Up』というゲームを宣伝するものだった。ゲーム&ウォッチを遊んでいた世代なら映像を見てわかるかもしれないが、『Toss-Up』は日本では『ボール』という名称で発売されたゲームだ。

当時の米国では、Atari VCS や Intellivisionといったビデオゲームがすでに人気を博しており、白黒液晶画面の携帯型ゲーム機という、新しいジャンルを開拓する必要があった。そこでCM製作を担当したDurona Productionsは、Time Outシリーズ製品を、怪我で競技に参加できない(タイムを取って戦列を離れた)スポーツマン向けの「電子スポーツ」という設定で商品を宣伝することにした。

CMでは、「2種類のゲームが選べる」「どんどん上がっていくスコアが表示される」、そして「時間を知ることもできる」とゲーム&ウォッチの基本的な機能を、さも凄いことであるかのようにまくし立て、さらにギャルが履くタイトなホットパンツのポケットにも収まるコンパクトさ、ちょっとした休憩時間に遊べる手軽さをアピールしている。

なお、このCMは完全に失われていたわけではない。インターネット上では、これまでもこのCMの動画を見つけることもできたが、それは古いビデオテープから起こしただけの劣化した映像だった。

今回VGHFが公開した映像は、ゲーム収集家のクリス・コーラー氏がオークションに出品されていたオリジナルの16mmフィルムを発見・入手したことがきっかけとなって製作された。コーラー氏はフィルムをVGHFに提供し、VGHFはフィルム修復専門業者の手を借りて、40年以上前のフィルムの画質とカラーを補正、フル2K解像度でデジタル化した。

YouTubeには日本の「ゲーム&ウォッチ」のCMを見つけることもできる。見比べてみて、米国と日本におけるゲーム&ウォッチCMの顧客ターゲット層の違いなどを考えてみるのも面白いかもしれない。

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