「アッオー!」という鳴き声が耳に残る
インターネット黎明期を飾った「ICQ」、6月にサービス終了
インターネット黎明期からのユーザーにとってはなじみ深い「ICQ」が、ついに2024年6月26日にサービスを終了する。2010年から管理してきたロシアのVK社が公式サイトで発表しており、他のチャットサービスに乗り換えるよう勧めている。
ICQはMSNメッセンジャーのような、リアルタイムのチャットができる初期のインスタント・メッセンジャー・サービスの1つだ。
相手がオンラインにいるかどうか一目で分かり、オフラインでもメッセージを送ることができ、P2Pでファイルのやり取りまで可能。何より短文をやり取りする気軽さが人気で、全盛期には登録ユーザー数が1億人を超えたこともある。
実際に使っていた人であれば、メッセージを受信したときの「アッオー!」(英語では「Uh oh!」)という鳴き声が耳に残っているだろう。いま振り返ると自己主張の強すぎる着信音だが、オンラインゲームやネット掲示板で知り合ってICQ番号(UIN)を教えた相手から、すぐに連絡が来るスピーディさは斬新だった。
もともとICQは、1996年にイスラエルのMirabilis社が開発したものだ。名前の由来は「I Seek You」から。マイクロソフトがWindows 95を発売してから1年後、任天堂がNINTENDO64を発売した年である。携帯電話は珍しくなくなっていたが、スマートフォンは影も形もなかった時代だ。
その後1998年にAOLに買収され、さらに2010年にロシアの投資会社Digital Sky Technologies(現VK)に売却された。当時、すでにICQから離れていた元・愛用者も少なくなかったはず。
逆に2024年半ばまで、ICQがまだ生きていたことに驚く人もいるだろう。一時はAndroid版とiOS版は出ていたもののアプリストアから撤退し、現在VKは代わりにVKメッセンジャーをプッシュしている。それでも、モバイル版ICQはHuaweiのAppGalleryで生き残っていた。
最新版ICQは、プッシュ音声メッセージ、ビデオ通話、ステッカーといった今風の機能も追加。とはいえ、核となるチャット機能はそのままだった。
なぜ数年前までiOS版ICQが生き残っていたかといえば、ロシア政府がアップルにプリインストールを義務づけたアプリリストに入っていた事情もあるようだ。