サトシ・ナカモトは110万BTCを所有しているそうです

英裁判所、自称ビットコイン発明者に「繰り返し嘘をついた」との判決文。“圧倒的に” サトシ・ナカモトではない

Image:WEIBEL Christophe_Shutterstock.com

ロンドン高等法院はオーストラリアのコンピューター技術者クレイグ・ライトが、自身がビットコインを発明したと繰り返し虚偽の主張を行ったとする判決文を発表した

ビットコインは2008年にサトシ・ナカモトなる謎の人物が公開した論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」を元にして作られた暗号通貨。日本では暗号資産とも呼ばれている。

サトシ・ナカモトはビットコイン最大の保有者であり、推定で110万BTCを所有すると言われている。2015年、WiredおよびGizmodoはクレイグ・ライトがサトシ・ナカモトである可能性を伝える記事を発表したが、後にその根拠に続々と矛盾点が指摘されたことで、ライトがサトシ・ナカモトであるとする説は否定されるようになっていった。特に手がかりのいくつかは、ライト本人が仕組んだものだとも指摘された。

しかし、ライト本人は自分がサトシ・ナカモトだとする主張を取り下げはしなかった。彼は何度も自身がビットコインのオリジナル論文を執筆したと述べ、彼が嘘をついていると述べた開発者らには名誉毀損訴訟を起こした。

これに対し、ライトが開発者を脅すのを阻止するため、非営利団体のCrypto Open Patent Alliance(COPA)がライトの示した証拠や主張を反証するための訴訟を起こした。COPA対ライト訴訟は、6週間の審理を経て3月に結審した。ロンドン高等法院のジェームズ・メラー判事は、ライトがビットコインを発案しておらず、サトシ・ナカモトでもないと述べている。

そして今週、判事は231ページにおよぶ判決文を発表し、ライトが「ビットコイン論文著者」、「サトシ・ナカモトを名乗って2008~2011年に活動した人物」、「ビットコインのシステムを開発した人物」、「ビットコインソフトウェアの初期バージョンの開発者」のいずれでもないと宣言した。さらにこの判決文では「彼の書面による証拠と反対尋問による数日間の口頭証拠の両方において、私はライト博士が裁判所に広範囲に、かつ繰り返し嘘をついたと完全に納得している。私の判断では、彼は自分が思っているほど賢くはない」とし「ライト博士がサトシ・ナカモトではないとする説が圧倒的だ」と結論づけた。

判決文に対しライトは「身元に関する問題であるため控訴する」と述べた。

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