「トップになる方法をカネで買う」との痛烈批判も

Metaの人気VRフィットネスアプリ企業買収、米FTCが阻止か。「VR帝国の拡大」を非難

Image:Myriam B/Shutterstock.com

米連邦取引委員会(FTC)は、バーチャルリアリティ(VR)大手のMetaによるWithin Unlimited社と人気VRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収を阻止することを目指すと発表した。

FTCはMetaとマーク・ザッカーバーグCEOが「VRの価値をユーザーに証明するフィットネス専用アプリを違法に買収」しようとすることで、「MetaのVR帝国を拡大しようと画策している」と非難している。

この買収計画は、旧FacebookがMetaに社名変更した数日後に明らかにされたことだ。SupernaturalはMeta Quest(当時は「Oculus Quest」)向けの、初のサブスクリプション対応サービスとなっていた。

リリースでFTCは、MetaがVRエコシステムのあらゆるレベルで「すでに重要なプレイヤー」になったと主張している。そのVR帝国には「トップセラーのデバイス、主要なアプリストア、最も成功した7人の開発者、史上最も売れたアプリの1つ」があるとのことだが、おそらく『Beat Saber』も含まれているのだろう。同社は2019年末に、開発元であるチェコのゲームスタジオBeat Gamesを買収している

さらにFTCのMeta批判は「実力で競争するのではなく、トップになる方法をカネで買おうとしている」と痛烈を極めている。「これは違法な買収であり、我々はあらゆる適切な救済を追求する」という構えだ。

これを受けて、Meta社反対声明を出している。「FTCの言い分は根拠がなく、イデオロギーと憶測に基づいている。オンラインおよびコネクテッドフィットネスのように参入と成長が著しいダイナミックな場で、この買収が反競争的な結果をもたらすという考えは、まったく信ぴょう性がない」とのことだ。

この動きは、メタバースでの主導的な地位をめざすMeta社にとって大きな打撃となりそうだ。同社はVRやメタバースへの取り組みに数十億ドルを投じてきたものの、ここ数ヶ月は経済的な逆風から余裕がなくなり、いくつかのプロジェクトは棚上げされたと伝えられていた

またMetaのVRヘッドセット「Meta Quest 2」は8月1日から、米国では100ドル、日本では2万円以上の値上げとなる。本製品はメタバース市場を「高性能かつ低価格」を武器として切り拓いてきただけに、今後の同社の戦略に何らかの影響をおよぼすのかもしれない。

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