Photography Kitの購入は必須
もはやデジカメ! ライカレンズ&1インチセンサー搭載スマホ「Xiaomi 14 Ultra」レビュー
Xiaomi Japan(シャオミ・ジャパン)は5月9日、フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」を国内発表した。グローバルでは3月に発売されていたスマートフォンだ。5月16日から販売開始で、想定価格は税込199,900円前後となっている。
Xiaomiは2022年に光学機器メーターのLeica(ライカ)と戦略的パートナーシップを締結し、初の共同開発製品となるXiaomi 12Sシリーズをグローバルでリリースした。2023年には第2弾となるXiaomi 13シリーズを発売している。Xiaomi 13Tシリーズは日本でも発売されたが、残念ながら国内モデルにはLeicaの文字は入っていなかった。このためXiaomi 14 Ultraが、Leicaを冠したXiaomi初の国内モデルということになる。
今回、Xiaomi Japanからレビュー機をお借りしたのでどのような端末なのかを紹介していこう。なお、レビュー機は日本モデルではなく、海外モデルのため国内モデルとは若干違いがあるかもしれない。
スマートフォンとしても使えるカメラ
Xiaomi 14 Ultraの背面は、周辺がやや湾曲しておりフラットな部分はレザー調の仕上げになっている。柔らかい手触りで指にもよくなじみ、カバーをするのがもったいないと感じてしまう。側面フレームは金属製で、とても質感が高い。
ちなみに、付属のカバーは透明TPUケースのような安っぽさはないが、とてもプラスチッキーでやや残念だ。もっとも、理由は後述するが、Xiaomiとしてもこのケースが利用されることはあまり想定していないのかもしれない。
背面でひときわ存在感を示しているのが、大きなカメラバンプだ。国内では、Leicaブランドの新スマートフォン「Leitz Phone 3」が一足早く発売されているが、丸いカメラバンプというスタイルはよく似ている。
ただし、Leitz Phone 3が円形バンプのセンターにメインカメラを据えているのに対し、Xiaomi 14 Ultraは周辺に4つのカメラを配置している。なお、レンズには「LEICA VARIO-SUMMILUX 1:1.63-2.5/12-120 ASPH.」という名称が付けられている。ライカのレンズシステムに準じた名称だ。
出っ張りは実測で約7mmとかなり大きく、片手で持った場合、ほぼ確実に指が当たってしまう。この辺り、「カメラに力を入れたスマートフォン」というよりも、もはや「スマートフォンとしても使えるカメラ」という意識に振り切ったのではとも感じる。
背面カメラの構成としては、メイン(23mm相当/F1.63~F4.0の可変絞り)、75mm望遠(F1.8/10cmマクロ撮影に対応)、120mm望遠(F2.5/30cmマクロ撮影に対応)、12mm超広角(F1.8/5cmマクロ撮影に対応)。解像度はすべて50MPだ。
カメラアプリ自体は特別ライカっぽさを感じないが、「Leica Authentic(オーセンティック)」と「Leica Vibrant(バイブラント)」という2つのスタイルを選択できる。Leica Authenticは、周辺光量補正により画像の中心部と四隅の光量落ちを抑え、ライカズミクロンレンズで撮影したような写真に仕上がるとのこと。もう一方のLeica Vibrantは、XiaomiとLeicaが共同開発したというスタイルで、鮮やかでありながらリアルな色彩を再現できるとしている。
なおスタイル以外にも、Leica関連のフィルターとして「Leica VIV」「Leica NAT」「Leica BW NAT」「Leica BW HC」「Leica Sepia」「Leica Blue」が用意されている。写真の仕上がりについては、人によって好みがわかれるところなので、自分好みの設定を見つけて欲しい。
ちなみに、写真にはウォーターマークを入れることもできるのだが、Xiaomiの標準スタイルとLeicaのものが用意されている。Leicaのウォーターマークはかなり主張が強く、またデフォルトで撮影地の座標を表示するようになっている。SNS等にアップする際には気を付けて欲しい。
Photography Kit
別売りとはなるが、Xiaomi 14 UltraにはオプションとしてPhotography Kit(税込22,000円前後)が用意されている。Xiaomi 14 Ultraのカメラ性能に惹かれて購入を考えているなら、このPhotography Kitもぜひ手に入れて欲しい。
本体に被せるカバーとUSB接続のグリップで構成されており、装着するとXiaomi 14 Ultraがコンデジのような見た目となる。見た目だけではなく、操作感もコンデジそのものだ。
シャッターボタンは半押しでフォーカスを合わせ、押し込みで撮影。その下にあるズームレバーでズーム倍率の変更も可能。横にあるダイヤルでは、露出値(EV)の設定が行える。これらの操作は、設定から変更も可能だ。
また、リングアダプターを交換することで、カメラ用の67mmフィルターを装着可能だ。NDフィルターやPLフィルターを装着してデジカメらしい撮影を楽しむことができる。
ただし、Photography Kitを装着するとスマートフォンとしてはかなり使いにくくなるが、グリップのみを外してケースとしても利用できる。質感がとてもよく、プロテクターを装着してレンズを守ることもできるので、ポケットやカバンに入れて持ち運ぶときも安心だ。
HyperOSを搭載
Xiaomiの端末といえば、これまではAndroidをカスタマイズした独自のMIUIを搭載していた。しかしXiaomiは、2023年10月にMIUIに代わる新OSとなる「Xiaomi HyperOS」を発表。既存モデルへのアップデートが開始されているので、すでに触ったことがあるという人も多いかもしれないが、Xiaomi 14 UltraにはこのHyperOSがプリインストールされている。
といっても、AndroidベースのカスタムOSであることには変わりなく、MIUIに馴染みあるなら、さほど違和感もないだろう。
スマートフォンとしてもハイエンド
Xiaomi 14 Ultraは、カメラだけでのスマートフォンではない。Xiaomiのフラッグシップモデルとして、十分に高い性能を有している。SoCはSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、RAMは16GB、ストレージ512GB。ストレージをRAMに転用するRAM拡張に対応しており、4GB、6GB、8GBをRAMとして追加できる。
ディスプレイは6.73インチのAMOLEDで解像度は3200×1440ピクセル。1~120Hzの可変リフレッシュレートに対応しており、高速描画と省電力を両立している。
筆者は普段、スマートフォンでゲームをしないのだが、負荷が高めの「原神」を試したところ、カクツキなども感じることなく快適にプレイできた。ゲーム向けの「ゲームターボ」という機能も備えており、ゲーム中のパフォーマンスやタッチ操作の最適化を図っている。
バッテリー容量は5000mAhで、90Wハイパーチャージに対応。付属の90W充電器を利用すれば、33分で100%充電可能だ。80Wのワイヤレスハイパーチャージにも対応しているが、日本では7.5WのQiで利用することになる。
バッテリー持ちは「PCMark for Android」のバッテリーベンチマークでは、100%から20%になるまで12時間42分という結果になった。動画や写真を頻繁に撮影する場合にはもっと短くなると思うが、スマートフォンとしてなら丸1日は利用できそうだ。
なお、先述のPhotography Kitのグリップには、1500mAhのバッテリーを内蔵しており、装着することでXiaomi 14 Ultraの稼働時間を伸ばすことができる。
カメラを重要視するならお勧め
ハイエンドスマートフォンとしても使用できるXiaomi 14 Ultraだが、最近各社が力を入れているAI機能に関してはほとんどアピールされていないのが少し残念なところだ。その意味では、カメラ機能を重視しないのであれば、あえてこの機種を選ぶ理由はないかもしれない。
しかし、何よりもカメラ機能を重視しているというのであれば間違いなくお勧めの1台だ。「だったらデジタルカメラを買えばいいのではないか」との意見もあると思うが、撮影後の加工やSNS等への投稿も簡単に行えるのは人によっては大きなメリットとなるだろう。
万人に刺さる端末ではないが、スマートフォンで写真をよく撮る、カメラとスマートフォンの2台持ちは面倒と考えている人なら検討する価値はありそうだ。