略してDNS
水中からテキスト通信・GPSマップが可能に。ダイバー用ナビ「Diver Navigation System」
スマートフォンのマップアプリは、初めて訪れる場所でも迷わずに目的地に到着できる安心感を、われわれにもたらしてくれる。しかし電波の減衰が著しい水中では、GPSどころか携帯電話網、Wi-FiやBluetoothといった電波による通信は実質的に使えない。
ドイツのマリンテクノロジー企業EvoLogicsが開発した水中ナビデバイス「Diver Navigation System」、略してDNSは、酸素ボンベとともに背負えるトラッカーユニットと、水上に浮かべるブイの間で通信を確立し、腕に装着したスマートフォンサイズのディスプレイコンソールを使って、ダイバーが自分の位置のGPS情報を得たり、船上のチームとの間でのテキストメッセージのやり取りを可能にする。
ブイは、ダイビングエリア上の水面に浮かんでおり、水中にPing音を定期的に発し続ける。これに対し、ダイバーが背負っているトラッカーユニットが応答Pingを返すことで、最初のpingが送信されてからその応答pingが受信されるまでの経過時間や応答が来た方向を分析し、ブイに対するダイバーの現在位置を特定する。これはUltra Short Base Line(USBL)式水中測位と呼ばれる方法だ。
またUSBLブイにはGPSアンテナが搭載されるため、そこから得た位置情報と掛け合わせてダイバーの位置をマップ上に表示。これにより、ダイバーと船上のクルーはその位置を常にマップで確認できる。ブイにはWi-Fiアンテナも備えられ、船上のクルーとの通信を提供する。このシステムは最大5人のダイバーと通信することが可能だ。
なお、船上のクルーとダイバーの間での意思疎通は、あらかじめ用意したプリセット文によるテキストメッセージで行える。
このシステムの位置精度は±10cmと非常に高く、水中通信距離は約1.5km、最大深度は約50mとなっている。またバッテリー駆動時間は最大8時間とされているため、用途として想定される捜索救助、サルベージ作業、海底からの物品回収作業に十分な作業時間を提供できるだろう。
- Source: EvoLogics