Microsoft Edgeに遅れること4年以上

Windows向けChrome、ついにArmネイティブ対応。「Snapdragon X Elite」搭載PCを後押し

Googleとクアルコムは、Arm向けWindowsに最適化したChromeブラウザの安定版をリリースしたと発表した。これは初期バージョンがCanaryチャネルで発見されてから2か月後のこととなり、クアルコムは本日(現地時間3月27日)から提供すると述べている。

このリリースは、Armチップを搭載したWindows PCのユーザーにとって大きな意味を持つ。同じChromiumベースのWindows版Edgeは早くからArmネイティブに対応しており、それから遅れること4年以上である。

これまで事実上、クアルコム1社が供給していたArmチップを搭載したWindowsデバイスは、x86(インテルやAMD製チップ)向けChromeをエミュレーションで動かす必要があり、パフォーマンスが低下していた。つまりArmネイティブ対応により、劇的な性能アップが期待できる。

実際、Googleのヒロシ・ロックハイマー氏は「クアルコムとの緊密な協力により、Chromeユーザーは、現在のArm対応PCでウェブを閲覧する際に最高のエクスペリエンスを得ることができる」と述べている。

GoogleがArmに最適化したChromeを提供することは今回が初めてではなく、2020年にAppleシリコン、すなわちApple独自開発のArmベースチップ搭載Mac向けにネイティブ版をリリースしている。これだけArm Windows向けネイティブ対応が遅れたのは、Armチップ搭載PCの性能が今ひとつであり、普及しなかったためかもしれない。

今回の発表は、クアルコムのWindows向けArmベースチップ「Snapdragon X Elite」搭載PCの登場に先立って行われた格好だ。同社のクリスティアーノ・アモンCEOも「Google Chromeの新バージョンは、2024年半ばからWindows PCのプレミアプラットフォームとしてのSnapdragon X Eliteの役割を確固たるものにするのに貢献するだろう」と述べている。

さらにクアルコムによれば、チップ設計企業がハードウェア・ソフトウェア開発の基準として提供するモデルである「Snapdragon X Eliteリファレンスデバイス」を使った予備テストで、新たなChromeがSpeedometer 2.1ベンチマークで劇的なパフォーマンスの向上を示したとのことだ。

同社はSnapdragon X Elite搭載PCでほとんどのWindowsゲームが動くと予告していた。それを裏付けるように、リファレンスモデルで推奨環境が決して軽くはない『Baldur’s Gate 3』を解像度1080p/約30fpsで動いている様子を有志が公開している。

今後やって来るSnapdragon X Elite搭載PCには、生産性向上ツールとゲームマシンの両面で期待が持てそうだ。