メッセージングに関しては年内に解消するはず

米司法省、アップルを独禁法違反で提訴。iPhoneからの乗り換えを困難にしていると主張

Image:max.ku/Shutterstock.com

米司法省は、アップルが反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして提訴した。iPhone等の主力製品で支配的な地位を利用し、競争を阻害していると主張している。

公式声明によれば「アップルの広範かつ排他的な行為が、米国人のスマートフォン乗り換えを困難にし、アプリ、製品、サービスの技術革新を損ない、開発者、企業、消費者に異常なコストを課している」とのことだ。訴状は、ニュージャージー州の連邦地方裁判所に提出された。

司法省がアップルによる違法な独占の例として挙げたものは、ざっと次の通りだ。

  • iPhoneユーザーが競合デバイスに乗り換えやすくする「スーパーアプリ」(複数のアプリを包含する)を妨害
  • ビデオゲームなどのクラウドストリーミングアプリをブロックする
  • iPhoneとAndroidのような競合プラットフォーム間のメッセージングの品質を抑制する
  • iPhoneでサードパーティ製スマートウォッチの機能を制限しつつ、Apple WatchユーザーがiPhoneから(Androidに)乗り換えることを困難にしている
  • サードパーティ開発者が、iPhone向けTap to Pay(非接触決済)機能を備えた競合デジタルウォレットを作成することを阻止

このうち「iPhoneとAndroid間のメッセージング品質を抑制」は、AndroidにiMessage(メッセージアプリ)で動画を送れないなど機能制限があることを指している。もっとも、アップルは2024年内にRCSをiPhoneでサポートしていると表明しており、少なくとも品質については(青いバブルと緑のバブルを除き)解消される見通しだ。

司法省サイドの主張に戻ると、反トラスト局長は「長年にわたり、アップルは一連の“モグラ叩き”的な契約規則や制限を課すことで、競争上の脅威に対応してきた。これによりアップルは消費者からより高い価格を引き出し、開発者やクリエイターに高い手数料を課し、ライバル技術による競争力ある代替品を締め出してきた」と述べている。

アップル広報は、複数の報道機関による囲み取材にて、この訴訟の却下に動く予定だとコメント。また、司法省による関連市場にも同意しておらず、米国のみならず全世界のスマートフォン市場であるべきだと述べている。

先日アップルは欧州連合(EU)にて、同社がApp Storeで競争を阻害しているとのSpotifyの苦情をきっかけに、約3000億円もの制裁金を課されたばかりだ。またEUでデジタル市場法が施行されたことで、代替アプリストアやアプリ外決済の許可を余儀なくされている

かたや司法省はGoogleとの反トラスト法訴訟も進行中であり、5月には最終弁論を終え、秋には公判が始まる予定だ。今後数年、2つのハイテク大手相手に、訴訟の日々が続きそうである。

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