アルトマン氏は次はもっと上手くやる?
アルトマンCEOの電撃解任、原因はAGIでなく信頼の欠如だった
OpenAIは取締役会に3人の新メンバーを選任したことを発表しつつ、昨年11月にサム・アルトマンCEOが電撃解任された(すぐに復帰)件につき、独立機関による検証結果を公表した。
また現取締役会は、アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン社長がリーダーにふさわしいとして、アルトマン氏を取締役会に復帰させている。
法律事務所WilmerHaleが実施した独立調査によれば、前取締役会がアルトマン氏を解雇したのは「製品の安全性やセキュリティ、開発ペース、OpenAIの財務、投資家、顧客、ビジネスパートナーへの言動に関する懸念」からではないという。
独立調査によるとアルトマン氏の解雇は、取締役会とアルトマン氏との信頼関係の崩壊に起因すると結論づけている。要はアルトマン氏が技術開発を急ぎすぎた結果、AGI(人間より賢いAI)が人類を脅かす懸念が生じたためではないか、との憶測を否定した格好である。
WilmerHaleは前取締役会のメンバーや現幹部を含む数十人にインタビューを行い、3万以上もの文書を調査した結果、前取締役会は権限の範囲内で行動していたものの、アルトマン氏の解雇は不当だったと判断。つまり解雇する権限はあったが、アルトマン氏の行いがそれを正当化するものではなかったというわけだ。
さらに前取締役会が「主要な利害関係者への事前通知もなく、十分な調査も、アルトマン氏が前取締役会の懸念に対処する機会もなく、限られた時間枠で決定を実行した」と指摘している。
降って湧いたような解任劇は、AIの安全性や誇大広告を批判するヘレン・トナー氏を、アルトマン氏が取締役会から排除しようとしたことがきっかけとの報道もあった。
このアルトマン氏の行いを、取締役会の一部メンバーは欺瞞的かつ心理操作をしていると見なしたという。前取締役会がまさに「率直さの欠如」や「リーダー能力への不信」を挙げていたことと符合している。
当のアルトマン氏はXにて、取締役会に復帰できたことを喜ぶとともに、当時の行いにつき反省を述べている。
「この経験から多くのことを学んだ」「前取締役会メンバーがOpenAIに害をなそうとしたとき、その状況をもっと優雅に、注意深く扱うべきだった」とのこと。もっと巧みに立ち回るべきだった、今度は上手くやると示唆しているようだ。
かたや取締役会を辞任したトナー氏とターシャ・マッコーリー氏は、共同声明を発表。「我々は新取締役会がOpenAIを統治し、使命に対する説明責任を果たせることを願っている。調査員に伝えたように、欺瞞、操作、徹底的な監視への抵抗は容認できない」と述べている。
- Source: OpenAI
- via: Ars Technica