超解像技術の利用ハードルを下げる可能性

NVIDIA、AMD、インテルの“超解像技術”、Windows 11が統合へ。新API「DirectSR」発表

Image:Piotr Swat/Shutterstock.com

ここ数年、ゲーミングPCでは超解像技術の利用が活発化している。システム内部では低解像度で描いて負荷を減らしつつ、AIによりアップスケーリングすることで見かけは高解像度にするものだ。一方、GPUメーカーがそれぞれ独自規格を打ち出すことで、乱立していた感があった。

そんななか、マイクロソフトがNVIDIA、AMD、インテルの超解像度機能を統合し、ゲームを開発しやすくする新たなWindows API「DirectSR」を発表した。

同社のプログラム・マネージャーであるジョシュア・タッカー氏はブログ記事で、これをゲームとSR(超解像技術)間の「ミッシング・リンク」と表現し、「ハードウェアを越えてスケールする、よりスムーズで効率的な体験」を提供するはずだと述べている。

新APIは「共通の入出力セットを介してマルチベンダーのSR(超解像)を可能にし、単一のコードパスでNVIDIA DLSS、AMD FidelityFX、Intel XeSSを含む様々なソリューションをアクティブにできる」という。

これまで、NVIDIA、AMD、インテルの超解像技術は、基本的に似た機能を持ちながら統合されていないため、ゲーム開発者はそれぞれの技術に合わせてコードを書き分ける必要があった。それをDirectSRが仲立ちすることで、1種類のコードを書くだけで各超解像技術に引き渡してもらえる、と示唆しているようだ。

各GPUメーカーが提供する超解像技術は、その企業が提供するGPUとひも付けられることもある。たとえば、NVIDIA DLSS 3はGeForce RTX 40シリーズに限定されている。もっとも、FSRとXeSSは他社のGPUでも動く。

つまり、ユーザー(ゲーマー)側にとっては「このゲームの超解像技術は、あなたのGPUには対応していません」という悲しい事態が減り、ストレスが少し軽くなる可能性がある。

今回の発表は、Windows 11のテスト版で「自動超解像」機能が発見された数週間後に行われた。現在、この機能はWindowsが丸ごと肩代わりするのではなく、既存のDLSS、FSR、XeSS等と連携するようだ。

マイクロソフトは、まもなく開催されるGDC 2024(ゲーム開発者カンファレンス/3月19日~23日)の開発者向けセッションで、DirectSRがどのように利用できるか概説する予定だ。

今後のゲーム専用機でも超解像技術は重要な役割を果たすと見られており、Nintendo Switch後継モデルや「PS5 Pro」も対応するとの噂がある。ゲーム機とPCのマルチプラットフォーム対応タイトルでも、大活躍するのかもしれない。

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