今年は本体よりカメラ性能が向上しそう
「iPhone 14 Pro」CPU性能は15%、GPUは最大30%向上か。カギはRAMの高速化
今年秋の「iPhone 14」シリーズのうち、通常価格モデルは13世代と同じA15 Bionicチップに留まり、高価なProモデルのみが最新チップ「A16 Bionic」を搭載すると予想されている。
もちろん正式発表は数ヶ月後のことであり、アップル公式の手がかりは何一つない。そんななか、iPhone 14 Proモデルが先代(iPhone 13 Pro)よりどれほど性能が向上するのか、専門家の推測が伝えられている。
アップル関連の老舗メディアMacworldのJason Cross氏は、これまで報じられた噂などを総動員している。まずチップの製造プロセスとして有力視されているのが、TSMC の「N4P」である。名前とは裏腹に、この技術は第3世代の5nmプロセス技術を意味している。
iPhone 12用のA14チップは、初代5nm技術「N5」で作られ、A15には第2世代の「N5P」が使われている。つまり、3年連続で5nmプロセスであり、技術がこなれたことで多少の改良はあるにせよ、飛躍的な向上は望むべくもない。実際、N4Pは初代の「N5」よりも11%の性能向上、電力効率は22%改善、密度は6%増した程度と謳われている。
そこでカギを握るのが、「より高速なRAMの採用」である。3月に有名アナリストMing-Chi Kuo氏は、iPhone 14 Proモデルは従来のLPDDR4からLPDDR5に替わると述べていた。これはMac用のM1 Pro/Maxチップで使われている帯域幅の大きなRAMであり、LPDDR4からは最大50%の向上が見込まれる。
このRAM変更や最大クロック周波数の向上により、最大で15%は性能向上するかもしれない、Cross氏はそうした推測を導いている。またGPUの性能は、ここ数年のAシリーズチップとほぼ同じように、25~30%の向上と考えるのが妥当とのことだ。
iPhone 14 Proではメインカメラが従来の12MPから48MPに向上し、しかも8Kビデオ撮影もできることが確実視されている。そこからCross氏は、iPhone 14 Proモデルの強化は、そのほとんどが画像処理とAIに集中するとの予想を導いている。
従来より4倍もの高解像度センサーを搭載すれば、より強力な画像信号プロセッサーやNeural Engine(機械学習を処理する専用ハードウェア)が必要となる可能性も高い。それらにデータを転送するためにも、メモリ帯域幅の拡大は有効というわけだ。
Mac向けの新型チップ「M2」もCPUの強化は控えめだったが、それ以上に4Kビデオのエンコードとデコード性能を向上させるメディアエンジンや、ProResビデオエンジンといった画像処理に重きが置かれていた。iPhone 14 Proも、カメラ性能や動画撮影がかなり強化され、Macとの連携がアピールされるのかもしれない。