PS4/PS5の脆弱性をいくつも発見したプロ中のプロ

Googleのエンジニア、「PS Portal」でPSPゲーム動作に成功。ハードウェア改造なし

Image:Andy Nguyen/X

ソニーのPlayStation PortalはあくまでPlayStation 5向けのリモートプレイ専用機、つまり「PS5実機で動くゲームを手元で遊ぶこと」に特化した製品であり、独立した携帯ゲーム機ではない。PS5本体とWi-Fi接続したストリーミングゲームに限定され、PS Plusのクラウドゲームサービスを遊ぶことさえできない。

そんなPlayStation Portalをハッキングして、Wi-Fi接続せずにPSP用のゲームを動かすことに成功したとの報告が届けられている。

これを成功させたのは、Googleに所属する2人のエンジニア達だ。その1人であるアンディ・グエン氏は「1か月以上の苦労の末、PPSSPP(様々なOSに対応したPSPエミュレータ)はPlayStation Portal上でネイティブに動くようになった。そう、ハッキングしたんだ」とX上で語っている。

またグエン氏は、このハッキングが「すべてソフトウェアベース」であり、チップの追加などハードウェアの改造はしていないとも付け加えている。現時点では『Grand Theft Auto: Vice City』が動く写真のみ公開しているが、今週末に「いくつかのデモを公開するかも」とのことで、メーカーの制約を取り払う“脱獄”の実演が見られるかもしれない。

PlayStation Portalの搭載OSは公式には明かされていないが、実はAndroidである可能性を示す写真は登場していた。その一枚にはAndroidを象徴するドロイドくん(通称)のアイコンが写り込んでいた次第だ。

グエン氏はGoogleのクラウド脆弱性研究者であり、同じくGoogleのセキュリティ・エンジニアであるカレ・スヴェンソン氏と力を合わせてPlayStation Portal攻略に力を合わせた。要は、2人ともその道のプロである。

以前からグエン氏は「theflow0」の別名で活躍し、過去に複数のPS4とPS5の脆弱性を発見したことで知られている。さらに今年5月には、PS4の新たな脆弱性につき詳細を発表する予定だ

同氏は「近い将来に(PSPエミュレータを動かす方法を)リリースする予定はなく、やるべきことはまだたくさんある」とも発言。腕利きのエンジニア2人が1か月がかりでようやく成し遂げたことを、一般ユーザーが可能な域までハードルが下げるのは、しばらく先のことになるようだ。

もっとも、PlayStation Portalは価格から考えて、高性能なプロセッサを搭載しているとは考えにくく、ネイティブアプリが動いたとしても快適な操作は期待しにくい。ソニーが公式に、単体でのクラウドゲーム対応などアップデートを提供することを期待したいところだ。

関連キーワード: