「青少年のメンタルヘルス危機を煽っている」
ニューヨーク市がYouTubeやTikTokなどを提訴。「子供たちを中毒にさせる」
ニューヨーク市がショート動画SNSの「TikTok」と写真共有SNS「Instagram」、チャットツール「Snapchat」、そして動画プラットフォーム「YouTube」に対し「推奨アルゴリズムやいいね機能などを含むプラットフォームの設計が、子どもたちをこれらのサービスに中毒させ、ますます多くの時間をオンラインで過ごすよう操っている」として訴訟を起こした。
米国では最近、未成年を欺き、有害で中毒性があるとされるハイテクプラットフォームに対して、州政府や自治体が訴訟を起こすケースが増加している。たとえば昨年6月には、上記企業に対してメリーランド州が「精神衛生上の危機を助長している」として訴えている。またMetaに対しても、昨年秋、数十からなる州政府が、若い世代に対する害について一般ユーザーを騙したとして訴えを起こしている。
カリフォルニア連邦地裁の判事は、言論ではなくプラットフォームの「欠陥」を扱った請求は進展する可能性があり、通信品位法230条として知られるハイテク企業の法的責任の盾に抵触するとは見なされないだろうと述べた。しかし、上に挙げた事例では、中核となる主張が法廷で検証されていない。
オンラインでの危害から子どもらを守ることは、最近の米国政府内で勢いを維持している数少ないインターネット政策課題のひとつと言える。先月の上院での公聴会では、テクノロジー企業のCEOらが出席して、子どもの安全に対する企業の対応を批判する議員らから追及を受けていた。
ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、1月の市政報告演説をはじめ、いくつかの機会で、ソーシャルメディア・プラットフォームに対して懐疑的な見方を示してきた。その演説では、ソーシャルメディアを公衆衛生上の危険と分類した保健委員の勧告について語り「我々はソーシャルメディアを他の公衆衛生上の危険と同じように扱い、ハイテク企業がその製品に責任を持つようにしようとしている」と述べた。
今回の訴訟においては、市は「現在、若者が被告のプラットフォームに大挙して中毒になっており、その結果、学区の運営に重大な干渉が生じ、若者に精神保健サービスを提供する市、学区、公立病院システムに多大な負担を強いている」「被告らのプラットフォームは『ソーシャル』として表現されているが、無数の方法で断絶や分離を促進し、その結果として生じる多数の精神的および身体的危害を引き起こしてきた」と主張している。
しかし、ここで名指しされたサービスはいずれも、すでに自社内で若年ユーザーが安全にサポートされるような対策を講じていると述べている。
たとえば、TikTokの広報担当者は、同アプリには「年齢制限機能、ペアレンタルコントロール、18歳未満のユーザーに対する60分の時間制限機能など、10代の若者のウェルビーイングな利用をサポートする、業界をリードするセーフガード」があるとした。
Instagramも、保護者用の監視ツールやソーシャルメディアの利用中に休憩をするよう指し示す通知などの機能を挙げ、「私たちは10代の若者たちに、安全で年齢に合ったオンライン体験をしてもらいたいと考えており、彼らとその親をサポートする30以上のツールや機能を用意している」と声明で述べている。
Snapの広報担当者は「Snapchatは、受動的なスクロールを促すコンテンツのフィードではなく、ユーザーがカメラ機能に直接アクセスし、従来の一般公開されるいいねやコメントのような機能はない」とした。そして 「われわれには、常にやるべきことがたくさんあるが、親しい友人たちが思春期に直面するさまざまな困難に立ち向かい、つながりを感じ、喜びを感じ、その後への準備を整える上で、Snapchatが果たす役割は大きいと感じている」と述べている。
Googleの代表者は「今回の申し立てはまったく事実ではない」とし、「若者にオンラインでのより安全で健康的な体験を提供することは、常に私たちの仕事の中核だ」と述べている。 そして「若者、メンタルヘルス、子育ての専門家と協力して、若者に年齢に応じた経験を提供し、親には堅牢な管理を提供するサービスとポリシーを構築した」と主張している。
なお、アダムス市長は、今回の訴訟と並行して「ソーシャルメディア行動計画」も発表した。この計画には、子どもたちの精神的健康への被害についてテクノロジー企業によるプラットフォームの責任を追及すること、より安全な利用について家族を教育すること、ソーシャルメディアが青少年に与える影響を調査することなどが含まれている。