初代モデルは「未来」ではなく「未来のプレビュー」

まだApple Vision Proは未完成、「理想型まで4世代かかる」との社内情報

Image:Ringo Chiu/Shutterstock.com

一般的に新たなカテゴリーの初代製品はバグや欠点が残っていることが避けがたく、ことアップル製品の初物買いは、リスクや未熟さも込みで楽しむものだといわれる。アップルが今月初めに米国で発売した空間コンピュータ「Apple Vision Pro」は、その究極の形だろう。

それはユーザーのみならず、アップル社内で本製品に関わっているチームの一部は、理想の形に達するまでには4世代かかる可能性があると考えていると、著名ジャーナリストが伝えている。

アップルの内部事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、自らVision Proを約1週間使ってみたという。ざっと感想をまとめてみると、次の通りだ。

  • Vision Pro はiPad を共食いする可能性がある。が、まだ初期の段階に過ぎない
  • ビデオストリーミングや軽い作業、電子メールやその他のメッセージの送信、それに写真の表示やMac の外部モニターとしては優れている。そのためソファや、ベッド、または飛行機に座っているとき、つまりiPadと同じ状況でコンピュータの代わりとなる
  • 内蔵スピーカーは素晴らしく、レスポンスも速くてキビキビとした操作感が得られ、グラフィックスも優れている
  • しかし、現在のVision Pro は「未来そのもの」というよりも「未来のプレビュー版」に近い。重くて扱いにくい、バッテリー持ちが短すぎる、専用アプリが少ない。visionOSは第1世代製品としても、通常のアップル製品より多くのバグに悩まされる

総評としては「Vision Proは基本的にプロトタイプであり、テストする特権を得るためにアップルにお金を払わなければならないものに過ぎない」とまで言っている。

特に酷評されているのはバグの多さだ。現時点では「ベータ版のようなもの」「消費者が日常的に使えるほど洗練されたものになるのは1年ほどかかるように感じる」といわれるほど。重量やバッテリー持ちに問題を抱えるハードウェアと合わせれば、早産といってもよさそうだ。

実際、社内のVision Products Group(ヘッドセット開発チーム)の中にもそう感じる人がいるという。今回の記事では「本製品が理想的な形になるまでには、iPhone、iPad、Apple Watchの進化と同じように、4世代かかるのではないかと考えている人もいる」と伝えている。

たとえばiPhoneが実用に耐えるようになったのはiPhone 3G以降であり、Apple WatchもSeries 3以降のことだ。インテル製チップからAppleシリコン(独自開発チップ)に移行したM1 Macが初代から大きな不具合もなく動いていたことは、古株のアップルユーザーほど驚いていた。

そもそもVision Proは、正式発表前から大きすぎる、高価すぎる、バッテリー持ちが短いと予想されていた。製品として練り込み不足でも発売を急いだのは、ティム・クックCEOが社内の反対を押し切ったからとの噂もあった

ともあれ「4世代かかる」との発言は、今後少なくとも3世代の後継モデルが出る可能性があると示唆している。粘り強く改良を重ねた末にiPhone 4が大ヒット+ロングセラーとなったように、数年後にはヘッドセットをかけた人達が街角にあふれているのかもしれない。

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