アップルはVision Proを被ったまま運転を厳禁

Apple Vision Proを着けて車を運転する動画が炎上

Image:Dante Lentini/X

アップルは先週末、空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を米国内で発売した。一応は外部を確認できるパススルーを備えて、着用したまま歩き回れるが、明らかに屋外での使用に向いているとは言えない。だが、そのスキーゴーグルのような存在感のためか、アグレッシブなユーザーが地下鉄に乗る、スケボーで疾走するなどの動画を公開している。

そんなVision Proチャレンジ現象が賑わっているさなか、着用しながらテスラ車を運転したと主張する人物が現れた。

ソフトウェア開発スタートアップのプロダクトマネージャーと名乗るダンテ・レンティーニ氏は、Vision Pro発売当日、ヘッドセットを被って空中タイピングやスクロールをする手つきをする25秒間の動画をシェアした。

その一部では、ハンドルに片手だけを掛け、時には完全に両手を離している。これはテスラの運転支援機能(オートパイロット、エンハンスト・オートパイロット、フルセルフドライビング)すべてに必須とされる「ヨーク(ハンドル)の上に手を置くこと」に違反する行為だ。

動画の最後では、停車した車の横にパトカーが写り込んでいる。さらにレンティーニ氏はXのコメントで、撮影されている人物が自分であり、逮捕されてしまったと主張。その再生数は、6日朝時点では2430万回を超えている。

しかし、様々なメディアに取り上げられるや、レンティーニ氏はいくつかのコメントを削除。そして米Gizmodoの取材に対して、このビデオは友人と作った「寸劇」であり、逮捕はされていないと明かしている。

「適切な時に、ちょうどいい場所にいた」「だから警察を撮影したんだ」とのこと。要は、自分が逮捕されたとフォロワーを思い込ませるために、無関係のパトカーを映したわけだ。

それに加えて、テスラを運転中にヘッドセットを装着したのは30~40秒とも述べている。わずかな時間であれ、Vision Proを被ったまま、手放しでテスラを運転したことは事実だと認めたかたちだ。

なおアップルもユーザーガイドで、運転中にVision Proを使うことを固く禁じている。「走行中の乗り物、自転車、重機の操作中、ほか安全に注意を要する状況では、Apple Vision Proを絶対に使用してはならない」とのことだ。

また「Apple Vision Proは平らで、安全に管理された場所で使うよう設計されている。階段、バルコニー、手すり、ガラス、鏡、鋭利な物体、過度の熱源、窓、その他の危険のある場所でも使用しないよう」呼びかけている。これに該当する危険行為は、すでにYouTube等で散見されている。

本人が高額な修理費を請求されたり、命を危険に晒すのは自己責任ではあるが、自動車のように周囲を大きく巻き込みかねない行為には、チャレンジを厳に謹んで欲しいところだ。

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