メタバースからMR(複合現実)にシフトしつつあり
Meta、「Apple Vision Pro」との競争を歓迎か。iPhoneに対するAndroid的な成功を狙う?
アップルの空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を最も意識しているハイテク大手は、おそらくMetaだろう。最新のVR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」を昨年6月初めに正式発表したことも、数日後に発表予定だったVision Proへの対抗だったとの見方もある。
そんなMetaの幹部らは、Vision Proが自社のヘッドセット事業を後押しすることを期待しているとThe Wall Street Journalが報じている。
まもなく2月2日に米国でVision Proが発売されるが、Meta従業員らは楽観的だという。この件に詳しいという関係者は、同製品が「まだ消費者に広く受け入れられていない500億ドル規模のメタバースへの取り組みを再活性化させる」ことを期待していると語っている。
1つには、アップルがヘッドセット市場に参入することで、Metaのギャンブルに見えていたものを正当化し、「より多くの消費者を惹きつける」という期待である。
もう1つは、「Questとそのソフトウェアエコシステムが、この分野でアップルに代わる主要な選択肢に位置づけられ、スマートフォンでGoogleのAndroidが果たした役割を果たす」と見ているということ。つまりiPhoneがスマートフォン市場を切り拓いた後に、対抗馬として認知されやすいということだろう。
さらにMeta幹部や業界関係者らが今後の戦いの中心と見ているのは「より多くのユーザーを惹きつけるアプリ開発で大きな役割を果たすソフトウェアメーカーである」とのこと。
また、Vision Proはまだ発売前だが、すでにMetaの考えに影響を与えており、当初よりも現実と仮想イメージを重ねるMRに力を入れていると伝えている。以前、同社は仮想空間に没入するメタバースを強調していたが、最近では言及が減っている印象もある。
アップルの幹部は、そうしたメタバースに批判的だった。ワールドワイドマーケティング担当上級副社長グレッグ・ジョスウィアック氏は、メタバースにつき「私が絶対に使わない言葉だ」とコメント。またCEOのティム・クック氏も「メタバースは一般人が理解できないと思う」と疑問を呈していた。
またアップル社内でも、「メタバース」はユーザーが逃避できる完全な仮想世界だと解釈されており、この言葉の使用は「禁止」されていると報じられたこともある。
Metaは元Facebookから(メタバースにちなむ)社名に変更し、VR/MRヘッドセット分野でハイテク大手としては孤軍奮闘しながらも、2023年の市場は大きく縮小していた。同社とアップルはプライバシーやアプリをめぐり対立を続けてきたが、Vision Proについては頼もしい援軍に見えているのかもしれない。
- Source: The Wall Street Journal
- via: 9to5Mac