世界が平和なら必要のない技術ではあるけれど

まるでSFに出てきそう。防弾でも動きやすい強化装甲エクソスケルトンが開発中

Image:Mehler Protection

軍隊や、警察機関の特殊チームは、銃撃される可能性があるような任務などでは、重い防護服を着用する必要がある。

ドイツのMehler Protectionはそのような需要を解決するため、カナダの先端技術企業Mawashi Science & Technology、フランスの国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)と協力して、部隊員の負荷軽減と防弾性を高めたExoM強化装甲エクソスケルトン(外骨格)を開発している。

Image:Mehler Protection

この装備は、装着時に全体の荷重の最大70%を着用者の肩から足元までに分散するようにできており、スライド式のウエストベルトをはじめ、背骨部分、股関節、膝関節、足首関節の自由度を奪わないよう工夫された設計により、着用者は全身の可動範囲の最大99%を維持できるとMehlerは主張している。

つまり、このエクソスケルトンは着用しても動きやすさをほとんど損なわないということだ。

また、ExoMは電動アシストを伴わないパッシブな設計である分、軽量に作られている。たとえばロボット外骨格の場合は、バッテリーパックからの電源でアクチュエーターを駆動し、重労働をアシストすることができるがその分重くなる。それに対してExoMは、充電環境がない遠隔地でのミッションや長時間にわたるミッションにおいて有利になる。

Image:Mehler Protection

フレームにはチタンを採用し、軽量に作られている一方で身体の前側に装着される防弾パネルは頑丈で、欧州基準のVPAM 8までの防弾性能を備えている。これは、AK-47自動小銃による発射体を、10mの距離から3発まで被弾しても耐えられる強度とのことだ。

Mehler Systemsの営業部門を率いるDaniel von Chamier氏は「ExoMは、技術革新に対する我々の協力的献身の証であり、統合された専門知識を通じて、軍と法執行機関の専門家に革命的なソリューションを提供する」と述べている。

なお、MehlerはExoMの装甲パネルの素材や構造、装備全体の重量といった仕様や、価格などについては明かしていない。