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英国、高出力レーザー兵器「DragonFire」による初の空中標的への発射試験に成功

Image:uk.gov

イギリス国防省は、英国防科学技術研究所(Dstl)が約1億ポンド(約188億円)を投じて開発してきたレーザー指向性エネルギー兵器「DragonFire」による、空中標的への高出力発射テストを実施した。

発表によると、DragonFireの射程距離は機密事項とされるものの、その精度は1kmの距離から1ポンド硬貨(直径22.5mm)を射貫く精度を備えるとのこと。

レーザー指向兵器(LDEW)は、まさに光速で標的を攻撃可能で、高出力なものであれば標的を瞬時に破損、またはさらに大きな結果を引き起こす能力を持つ。一方その威力とは対照的に、1度の発射にかかるコストは10ポンド(約1900円)未満とも言われ、一般的な弾薬とは比べものにならない低コストさも利点のひとつだ。

レーザー兵器というとSFの世界のものだと思われるかもしれないが、現代の戦場ではもはや実際に使用されるレベルまで来ているのが現実で、ロシアがウクライナで使用したりやイスラエルなどでも使われているという。日本でも昨年、防衛装備庁が実用化を目指した実証試験を行うと発表していた

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英国政府はDragonFireについてあまり多くを語っておらず、英国国内で設計開発された50kWのビームコンバイニングシステムと、砲塔には目標捕捉のためのカメラシステムと、ビーム収束用の別のレーザーシステムを備えていることのほかは、ほとんどが機密扱いだ。

英国国防長官Grant Shapps氏は「この種の最先端の兵器は、高価な弾薬への依存を減らし、巻き添え被害のリスクも下げることで、戦闘空間に革命をもたらす可能性がある」とコメントした。

また、Dstlの責任者であるPaul Hollinshead氏は今回の実験により「指向性エネルギー兵器によってもたらされる脅威を理解する上で、私たちは大きな一歩を踏み出すことができた」「数十年にわたる知見やスキル、作戦経験を備えたDstlの専門知識は、軍隊が将来に備えるのに不可欠なものだ」と語っている。

なお、Dstlの広報担当者はDragonFireに関して「英国軍への配備のタイミングは多くの要因によって決まるが、今後5~10年以内になる可能性がある」と述べた。主に防空用として使われることになるという。

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