同じ曲ばかりおすすめされるのはうんざり

欧州議会、音楽ストリーミング業界にアーティスト報酬とレコメンドの改善を提案

Image:Rawpixel.com / Shutterstock.com

欧州議会は、音楽ストリーミング各社がアーティストへの報酬を公平に支払い、さらに推奨アルゴリズムがユーザーにプロモーションするアーティストや楽曲の提案をどのように決定しているかに関する透明性を高める新たな規制の導入についての提案を採択した。

この提案は、まだ人々に十分に知られていないアーティストが公平に収入を得られるように考えられている。現在の音楽ストリーミングサービスの印税率は、SpotifyやApple Musicといった著名サービスがその知名度でユーザーを呼び込む代わりに、アーティスト側は楽曲が再生されるのに応じて支払われる報酬を低く抑える条件を受け入れさせている。

欧州議会の議員らは、現在のアーティストへの報酬分配方法は、公平性が足りないと考えている。たとえば現在のアルゴリズムでは、ユーザーに対し知名度の高い人気アーティストが有利になるようなレコメンドがなされている。そのため、知名度が低いアーティスト、再生回数が少ないジャンルや楽曲は、継続的にプラットフォームに追加される「膨大な量」のコンテンツの陰に隠れ、ユーザーにリーチすることが困難な状態になっていると報告されている。

こうした状況を変える方法として、議員らは大手レコード会社や人気アーティストがマイナーなレーベルやアーティストよりも不当に優遇される(つまり、より良い報酬を得る)のを防止するため、推薦アルゴリズムの透明性を確保することを求めている。

Image:Tada Images / Shutterstock.com

また「デジタル以前」の時代遅れな著作権使用料率の見直しが必要だと主張し、さらにEU圏内のアーティストのプロモーション支援のため、欧州の音楽作品の推奨を割り当てる義務も課すことが検討されているという。

さらに、議員らはAIの使用に関する規制の強化が必要だと考えている。楽曲の作成においてAIが使用されているかどうかを開示し、AIを使って人間のアーティストの声や演奏をそっくりに模倣する、ディープフェイク楽曲の取り締まりに取り組むことも求めている。

欧州議会報告者であるスペインのイバン・ガルシア・デル・ブランコ氏は、プレスリリースで「欧州議会は、音楽ストリーミング市場の中心にいる欧州のクリエイターの懸念を代弁している」と述べ「文化的多様性と著者のクレジット、公正な報酬の保証は常にわれわれの優先事項だ」と述べている。

今回の提案は立法的なものではない。むしろ、これは欧州委員会に対して懸念を認め、事態を改善するための法整備を実施するよう嘆願するものと言えそうだ。ただ、これから法的な規制を作るにしても、それが発効されるまでには数年は必要になると考えられる。

関連キーワード: