実用できる小型PC
絶妙なサイズ感、10.1型の“革装2-in-1ノートPC”「OneMix5」を試す
国内で数多くのUMPC販売を手掛ける天空は12月20日、10.1インチのUMPC「OneMix5」の国内販売を開始した。価格はRAM32GB/ストレージ1TBモデルが19万8800円、32GB/2TBモデルが20万8000円(どちらも税込)。国内販売モデルは日本語キーボード仕様のみとなっている。
UMPCといえば、最近ではディスプレイの両脇にコントローラーが配置され、Ryzenを搭載したゲーミングUMPCが主流になっているが、OneMix5は珍しくゲーミングではないUMPCだ。一応、UMPC(Ultra-Mobile PC)の定義としては9インチ以下のため、10.1インチの本機はUMPCから外れるのだが、販売店はUMPCだと説明している。
OneMixシリーズは、ゲーミングではなくかなりビジネスよりの端末としてリリースされており、OneMix5もそれを踏襲している。天板および底面は本革で覆われており、高級感がある。なお今回は、天空より実機をお借りしてレビューを行う。
OneMix1~4はディスプレイを背面に回せる2-in-1スタイルだったが、OneMix5はこの構造が変更されている。2-in-1なのは変わらないが、天板中央にもう一つのヒンジが追加され、ディスプレイを手前に折りたためるような構造になった。画面サイズこそ違うが、Surface Laptop Studioとほぼ同様のスタイルだ。
通常の2-in-1端末では、ディスプレイを背面に回してタブレットスタイルにすると、背面にキーボードがむき出しになってしまう。そういうものだと割り切ってしまうこともできるが、やはり背面はフラットのほうが手に持った時にも違和感がなく使いやすい気がする。
ディスプレイは10.1インチのLTPS液晶で、解像度は2560×1600ピクセル。デフォルトではディスプレイ設定の拡大/縮小が200%に設定されていた。なんとか実用に耐える文字サイズだが、人によってはもう少し拡大したいと感じるかもしれない。
下側のベゼルがやや太い3辺狭額縁で、残念ながらWEBカメラは非搭載だ。スタンドタブレットスタイル(いわゆるテントスタイル)はオンラインミーティングなどにも活用しやすいだけに、やや残念なポイントだ。
インターフェースは、右側面にUSB3.2(Type-C)と指紋センサー(Windows Helloに対応)搭載の電源ボタン。左側面にUSB4.0(Type-C)、microSDカードスロット、3.5mmジャック。
日本で発売されるモデルは、すべて日本語配列キーボードで英語配列は選べない。アルファベットキーはキーピッチ18mmが確保されており、メインのキーだけならタッチタイピングも問題ない。打鍵感も良好だ。記号の配置が変則的で、数字キーがファンクションキーと同じ小さいサイズになっているなど、不満がないわけではないが、このサイズのキーボードであれば十分に及第点といっていいだろう。
全くの余談になるが、日本語配列はともかくとして、この手のデバイスを入手する人なら、かな入力を行う人はほとんどいないのではないかと思うので、せめてかな刻印をなくすなどの検討はして欲しかった。日本語配列=かな刻印というのは、いまとなっては悪習ではないかと感じている。とはいえ、かな入力のほうが素早く入力できるのは確かなので、ぜひメーカーや販売店には、購入者のかな入力割合を調べて欲しいところだ。
スタンドタブレットスタイルでは、キーボードは隠れるがタッチパッドは利用できる。もちろん、タッチパネルで操作はできるのだが、指紋で画面が汚れる心配がないのはありがたい。なお、付属はしないがSurface互換のスタイラス(つまり、MPP対応スタイラス)も利用可能だ。
ベンチマークをしていて気が付いたが、パームレストがかなり熱を持つ。熱いと感じるほどではなく40度弱なので、この時期ならむしろ暖かくて助かるのだが、夏場は確実に汗ばむことになりそうだ。小さな筐体かつ底面も革で覆われているので、排熱的に不利になっているのだろう。
最後にベンチマークも確認しておこう。ただ、試用機のスペックはCore i5-1230UにRAM16GBと、製品版(Core i7-1250U、32GB)と比べて1段低いものとなっている。このため、ベンチマーク結果はあくまで参考として捉えて欲しい。製品版であれば、このスコアよりも高い結果になるはずだ。
PCの総合能力を測るPCMark 10のスコアは、トータルでは「4532」。ウェブブラウジングやビデオ会議など、一般的な使用方法を対象とするEssentialsは「9134」、オフィスアプリのパフォーマンスを測るProductivityは「6096」。これらのスコアであれば、オフィスユースを始め、一般的な用途であれば不自由することは少ないだろう。
一方で、写真や動画編集などクリエイティブ系作業を測るDigital Content Creationは「4540」と、やや低めになっている。とはいえ、快適に動作する目安は3450とされているので、これらの作業が行えないわけではない。
また、グラフィック性能を測る3DMarkの結果は下記の通りだ。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONは、軽量品質/1280×720/フルスクリーン設定で「2825 やや重い」という結果になった、3Dmarkの結果を見ても、軽めのカジュアルゲームなら問題ないだろうがゲームをがっつり遊ぶには向いていない。やはりビジネス向けの端末と言えそうだ。
10.1インチというサイズは非常にコンパクトで持ち運びしやすく、それでいて実用できる絶妙なサイズ感だ。書類作成やちょっとした画像編集程度であれば、メイン端末としても十分に利用できるスペックもある。
小型端末は競争が激しくなってきているが、2重ヒンジでのスタンドスタイルやタブレットスタイル、そして実用できるコンパクトなキーボードなど、十分な差別化も図れている。そして何より、単純に革装の外観は惹かれるものがある。ビジネスシーンでも持ち歩ける小型端末を探しているなら、ぜひ検討して欲しい1台だ。