水耕栽培用です

電気刺激で植物の成長を速める「eSoil」。大麦では1.5倍の促進効果

Image:Electronic soil

スウェーデン・リンシェーピン大学有機エレクトロニクス研究室の研究者らが、電気を流すことで植物の成長が平均1.5倍になるという水耕栽培用導電性ポリマー「eSoil」を開発した。

eSoilはセンサーやOLEDディスプレイなどに使われているPEDOTと呼ばれる導電性ポリマーに有機物を混合したもので、研究では大麦の苗に15日間にわたり0.5vの電圧をかけたところ、その根が刺激を受けなかった苗に比べて記録的な成長速度を示すことを発見した。

研究者によると、この刺激の効果は「安定的」かつ「一過性」のものだと述べている。ただ、電気によって「刺激された植物がより効率的に栄養素を処理できることはわかったものの、刺激がこのプロセスにどう影響しているのかは分かっていない」ため、今後はそのプロセスの解明が研究の焦点になっていくだろうと付け加えた。

水耕栽培は葉物野菜やキュウリ、トマトのような植物でよく使われる方法で、eSoilが実用化されれば、農業における肥料の使用を最小限に抑えつつ、簡単に作物の収穫量を増やすことが可能になるかもしれない。

また将来、月や火星などに基地が建設されるようになれば、その場で食物を生産する必要も生じるため、eSoilが現地で野菜を効率よく生産するための重要な要素になる可能性も考えられる。

eSoilで使用する電力量は非常に少ないと研究者は述べており、これも月や火星基地での栽培には適していると言えるだろう。

ただ、この技術を大規模農業や他の種類の作物に応用する前に、電気刺激が苗の成熟初期段階だけでなく、植物の寿命全体を通じての成長サイクルにどのような影響を与えるかを確認するために、まだまだ研究を重ねる必要があると研究者は述べている。

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