アップルはソフト更新で回避する意向

米国でのApple Watch販売禁止、一時解除。控訴裁判所が命令

Image:Hadrian/Shutterstock.com

米国においてApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2が販売禁止となっていたが、それが一時的に解除された。

アップルが米ITC(国際貿易委員会)の下した裁定を不服として、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)に控訴。そして同社が控訴期間中は販売禁止の一時停止を求めたことを、CAFCが認めた流れである

これは今年10月、アップルが非侵襲的な血中酸素モニターに関し、医療機器会社Masimoの特許を侵害しているとITCが認定。それに基づき、一部Apple Watchにつき米国での輸入・販売禁止を命じたことが発端だ。

先週アップルは、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売を停止する方針を発表した。米バイデン政権がITC裁定に拒否権を発動する可能性もあったが、それも見送られ、販売禁止措置が発動されたしだいだ。

今回の命令により、Apple Watchの販売禁止は1月10日まで保留される。その一方、アップルは特許問題を回避できる「再設計」(おそらくソフトウェア修正)を提出したと控訴の書面で述べている。それが最終的に認められるかどうかの判断は、1月12日に下される見通しだ。

今回の特許紛争は、10年近く前に遡るとBloombergは報じている。それはMasimoの主要エンジニアだったマルセロ・ラメゴ氏が、アップルのクックCEOに求職のメールを送ったことが始まりだったという。

2013年初頭、アップルとMasimoの幹部らは、交渉のために会合を開催。その当時、アップルはラメゴ氏に採用を打診したものの、同氏は一度は拒否。だが、MasimoのCEOが良いポジションを与えなかったため、翻意したとのことだ。

結局アップルはMasimoと技術共有につき合意に達しなかったが、すでにApple Watchを開発中だったためにラメゴ氏を雇用。当時、他にも約20人の元Masimo社員がアップルに雇われていたそうだ。

Masimo側の弁護士によれば、ラメゴ氏は血中酸素モニターの開発方法は知らなかったが、MasimoとCercacor(Masimoから分社した企業)から得た知識をもたらしたとのこと。

その後ラメゴ氏はアップルを退社し、自らの会社True Wearablesを立ち上げて血中酸素モニタリング機器「Oxxiom」を発売。Masimoはこの企業を訴え、製品の販売差し止めに成功している。そしてアップルも提訴されたというわけだ。

今後、Apple Watchの命運は裁判所の判断に委ねられることになるが、あらゆる特許がらみの法廷闘争がそうであるように、長い戦いとなりそうだ。

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