日本への影響はナシ

米国でApple Watch販売禁止、バイデン政権は覆さず。アップルは不服として控訴

Image:Wongsakorn Napaeng/Shutterstock.com

米バイデン政権は、米国におけるApple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9の販売禁止を覆さない決定を正式に発表した。これはアップルと医療機器会社Masimoとの特許紛争につき、米ITC(国際貿易委員会)が下した裁定に基づく禁止令が予定通りに行われることを意味する。

アップルは25日の期限に先立ち、自ら公式サイトでは21日、直営店では24日から販売を終了していた。バイデン政権が拒否権を発動することを期待すると見られていたが、何のアクションも起こされなかった格好だ。

同社の広報担当者は米9to5Macほかに、ITCの裁定に強く反対しており「Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2を米国の顧客に可能な限り速やかに提供するため、あらゆる手段を講じる」との声明を送付。それとともに、裁定を不服としてITCを米連邦巡回控訴裁判所に控訴した。

アップルの声明全文は、以下の通りである。

「アップルは、ユーザーの生活に有意義な影響を与える製品やサービスを生み出すために、たゆまぬ努力を続けている。臨床、デザイン、エンジニアリングの各チームがApple Watchの科学的に検証された健康、フィットネス、ウェルネス機能の開発に何年も費やしているのはそのためであり、世界中の何百万人もの人々が多大な恩恵を受けていることに刺激を受けている。我々はITCの裁定と、それに基づく禁止命令に強く反対し、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2を可能な限り速やかに米国の顧客に提供するため、あらゆる手段を講じている」

ITCの裁定で輸入・販売禁止の対象となったのは、非侵襲的(注射針を刺さない)血中酸素モニターに関するMasimoの特許を侵害したと認定されたモデルのみ。つまりApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2に限られ、Apple Watch SEは引き続き販売されている。

またITCの決定は、12月25日以前に両モデルを購入した顧客のサービスや修理には影響しないとのことだ。

先日Bloombergは、アップル社内でITC裁定の根拠となったMasimoの2つの特許を回避するソフトウェア・アップデートの開発を急いでいると報じた。しかしMasimo側は、ソフトウェアの修正では十分ではなく、ハードウェアを変更する必要があるとコメントしていた

もっとも、米国でApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売が全面的に禁止されたわけではない。当面はBest BuyやAmazonなど非直営店でのストアでは購入できるが、いずれにせよ商戦期のホリデーシーズンに公式ストアで高価なモデルが販売できないのはアップルにとって大きな痛手だろう。

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