アップルが看過するとは思えず

Android版iMessageこと「Beeper Mini」、アップルのブロックに“脱獄済み”iPhoneで対抗

Image:Beeper

今月初め、米BeeperはアップルのiMessage(メッセージアプリ)チャットに「青い吹き出し」で参加できるAndroidアプリ「Beeper Mini」をリリースした。フルサイズの写真や動画の送受信、リプライや絵文字リアクションも利用可能で、AndroidでもiMessage独自の機能が使えることが注目を集めた。

が、その数日後に全てのBeeper MiniユーザーがiMessageとの送受信が不可に。アップルは「偽の認証情報を悪用する技術」をブロックしたとして、それは「ユーザー保護のため」だと主張する声明を発表していた次第だ

それ以降もBeeperがiMessageとの通信を回復しようとすれば、その都度アップルがブロックする繰り返しが続いていた。その最終的な手段として、Beeperは「脱獄済みの古いiPhoneを販売する」こと込みのアップデートを打ち出している。

Beeper Mini最新版は、Macか脱獄可能な古いiPhoneのどちらかを必要とする。それらのオプションは、ざっと次の通りだ。

  • 古いiPhone(6/6s/SE1/7/8/X)を持っている場合:iPhoneをMacあるいはLinux PCを使って脱獄し、iMessage登録コードを生成するためにBeeperツールをインストール。そこで得られたコードを、実際に使うiPhone上のBeeper Miniアプリ最新版に入力する
  • 古いiPhoneがない場合:Beeperからアプリがプリインストールされた古いiPhoneをレンタル(月額数ドル)または購入(30~50ドル前後)。2024年初めにサービス提供する予定
  • Beeper Desktopインストール済みのMacあり:そこで得られた iMessage 登録コードを使い、iPhone上のBeeper Miniをセットアップ。ただし、この方法では電話番号の登録はできない

このうち1と2では、Beeper Miniの機能をフルに使うことができ、AndroidユーザーがiPhoneユーザーとやり取りするとき「青い泡」として表示される。この際、脱獄したiPhoneはWi-Fiに接続したままでなければならない。

Beeper Miniの動作には、アップル製品からの登録データが必須だ。当初Beeper Mini開発チームは、自社のMacサーバーのそれを使っていたため、アップルも容易くブロックできた。が、新たな方式では各ユーザーが手元のMacあるいはiPhone経由で登録データを得ることで、理論的にはアップルがBeeper Miniユーザーを特定することが困難になるはずだ。

またBeepr Miniチームは2つ目のブログ記事で、これがBeeper Miniを稼働させるための最後の試みだと述べている。この方法も無効化された場合は「現在のところ考えていない」という。「地球上で最大の企業とのイタチごっこには勝てない」とのことだ。

その一方で、米司法省と連邦取引委員会は、アップルがBeeper Miniをブロックしたことを受け、反トラスト法違反の疑いに対する調査を強化していると報じられていた。もしもBeeper Miniに止めがさされた場合、何らかの動きがあるのかもしれない。

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