来年はアップルのVision Proが発売される予定
2023年のVR市場、Metaが多額の資金を投じるも「40％縮小」
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Metaは、マーク・ザッカーバーグCEOが推進するメタバースの普及のために、この四半期あたり数十億ドルを投じてきた。しかし、このMeta創業者の夢を実現するという取り組みにもかかわらず、仮想現実市場は縮小している。
調査会社のCircanaはCNBCに対して、米国におけるVR／ARシステムの売上高が、2023年に6億6400万ドルになったと報告した。2022年の同売上高が11億ドルと報告されていることから、40%近くの下げ幅となっている。ちなみに、2022年も前年に比べて2%減少していた。
MetaのReality Labs部門は、2023年第3四半期に、2億1000万ドルの売上に対し37億ドルの損失を出していた。ザッカーバーグ氏がFacebookからMetaに社名を変更した直後の2022年初頭以来、Reality Labs部門は合計約250億ドルの損失を出してきている。
ただ、それでもReality Labs部門の最高技術責任者アンドリュー・ボズワース氏は、未来は明るいとみているようだ。ボズワース氏は今週はじめにブログ記事にて、Metaが力を入れるAIとメタバースが2023年に大きな進歩を遂げたと述べ、この2つの技術が「膨大な数の人々がアクセスできる製品の形で交差」し始めていると主張した。
しかしAIはともかく、メタバースに関しては、これまでのところザッカーバーグ氏のビジョンを実証するようなキラーアプリが登場していない。誰もがその存在を知り、試したい、楽しみたいと思うようなVR／ARアプリがなければ、当然ながら高いお金を出してそのシステムを購入しようとする人は増えそうにない。
Circanaのアナリストであるベン・アーノルド氏は、この市場が厳しい年を過ごしている理由は、ユーザーを興奮させる可能性のある新しいスタンドアロンVRヘッドセットが不足していることと、主流の消費者の間で広くアピールできる画期的なアプリが引き続き不足していることによるものだと考えている。
ただ、希望もないわけではない。Metaは今年10 月にQuest 3を発売し、10月から11月までの8週間で、前年同期比42%増の2億7100万ドルを売り上げた。アーノルド氏は、VRヘッドセットのデザインや魅力はここ数年で大幅に向上していると述べている。しかし「そこに課題があるとすれば、このハードウェアに優れたコンテンツをどのように用意するか、ゲームや何らかの新しい体験を構築するのにどのようにしてもっと多くのリソースを投入できるようにするか」というところだと指摘している。そして、これは技術的な話ではなく「経済に関する話」だとした。
なお、メタバースという概念から少し離れるかもしれないが、MetaはRay-Banのスマートグラスに、言語翻訳機能や撮った写真に気の利いたキャプションを付けられるようにする生成AI技術の導入をテストしているという。ボズワース氏は「レイバン メタ スマート グラスにより、AIは初めて私たちの視点から世界を見ることができるようになる」としており、このようなAR機能を持つスマートサングラスなどが、意外とザッカーバーグ氏の目指すメタバースのビジョン実現の新しい道を切り開くものになる可能性もありそうだ。
そして、2024年にはアップルがMR（Mixed Reality）ヘッドセット、Vision Proの市場投入が期待されている（米国では春頃、その他は2024年末頃と言われている）。何かとそのプレミアムな価格が話題になる同デバイスだが、それはアップルが金に糸目を付けないアーリーアダプター、企業やその開発者らを潜在なターゲットとしていることを示唆するものだと、専門家たちはみている。
ドイツのVRスタートアップVRdirectのロルフ・イレンバーガーCEOは、多くの企業は「アップルだから」という理由でVision Proに興奮しているが、Vision Proはどちらかというと「ライフスタイル」デバイスだと認識していると述べた。
アップルが公開したデモでは、巨大な仮想ディスプレイで映画を視聴する機能など、よりエンターテイメントに適した用途が強調されていたが、アップル自身はVision Proが、物理世界とデジタル なコンテンツやビジュアルを融合する「空間コンピュータ」だと説明している。
Apple Watchが初めて発表されたときも、高級なデバイスとして非常に高額な価格設定が話題になった。しかしその後、代を重ねるにつれてApple Watchは一般的な人々でも購入可能な価格帯になった。Vision Proも最初こそ高額ではあるものの、数年後には手の届く価格帯のモデルが登場することを期待したいところだ。
