大手各社は自社ストリーミング番組で情報発信

世界最大のゲームショウE3、正式に終了。大手企業の不参加やデジタルイベント定着を受けて

Image:logoboom/Shutterstock.com

かつて世界最大のゲームイベントだったE3が、正式に終了を発表した。1995年から開催された、28年の歴史に幕が下ろされることになる。

主催団体ESAのスタンリー・ピエール=ルイ会長兼CEOが米Washington Postに声明を寄せ、同ショーが永久に再開しないと認めた格好だ。「これほど愛されてきたイベントに別れを告げるのは難しいことだが、我々の業界がファンやパートナーと接触する新たな機会を得ることを考えれば、正しい選択だ」と語っている。

ここでいう「新たな機会」とは、ブースの出展料や旅費、多忙な開発スタッフを現場から引き離す等のコストを掛けず、幅広いファンに情報を提供できるバーチャルイベントを意味している。2011年、任天堂は岩田社長(当時)やクリエイター自らが新作ゲームの情報を発信する「Nintendo Direct」を開始し、業界の先駆けとなった。

新型コロナ禍によりE3やGDC、Gamescomといった大規模ゲームイベントが見送られる以前から、任天堂のほかソニーは「State of Play」、マイクロソフトは「Xbox Games Showcase」などのライブストリーム番組を通じた情報発信が恒例となっていた。

さらに2020年以降、ゲームジャーナリストのジェフ・キーリー氏が主催するデジタルイベント「Summer Game Fest」が定着。やがて大手パブリッシャーとインディーズを問わず、各社ともコストの掛かる物理イベントを避けながら、全世界のユーザーにゲームを売り込めるオンライン番組に移行していった次第だ。

そして2023年、E3は4年ぶりに開催を予定しながらも、任天堂やソニー、マイクロソフトやセガなど主要企業が不参加を表明したことで結局は中止。ストリーミング配信と物理イベント共にキャンセルされ 、そのまま復活の道が閉ざされた流れである。

ちょうどE3が2023年開催の中止をアナウンスした前後に、任天堂が『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の新映像を公開して全世界の注目を集めていたことが、なんとも象徴的だった。

実に四半世紀以上も親しまれたE3だったが、実際に会場に行けるファンの数は限られている上に、メーカーにとってもコストに見合う宣伝効果が得られなくなっていたのだろう。大規模ゲームイベントを定着させるという、歴史的な役割は果たし終えたと言えそうだ。

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