われわれはどこからやってきた?

地球上の生命は「地球上の物質だけで誕生」したかもしれないと考える研究論文が発表

Image:KeyFame/Shutterstock.com

地球上の生命の起源が、いったいどこからやってきたのかという謎について、科学者たちはまだ確定的な答えを出すことができていない。

先週、Science Advances誌に発表された新しい論文は「もし、地球上の生命の起源が最初から地球上にあったとしたら」という疑問について考えるものになっている。これは地球上のどこから生命が始まったのかを探求する考え方であり、研究者らは生命の発現を可能にした元素が最初から地球上に存在していた可能性があると述べている。

炭素、水素、窒素、そして研究者がカルコゲンと呼ぶ、酸素・硫黄・セレン・テルル・ポロニウム・リバモリウムの6つの元素を総称するグループなど、いくつかの元素は「揮発性」の性質を持つとみなされる。そして、これらの元素がどのようにして地球に入り込んだのかを理解することは、地球上の生命の起源を理解する助けにもなる。

現在最も有力なのは、後期ベニヤ説と呼ばれるもの。原始の地球は揮発性の低い物質だけで形成されていたが、そこへ揮発性の高い物質を大量に含む小惑星・彗星または隕石が衝突するようになり、それによって高濃度の揮発性物質が地上に現れ始め、現在の姿に変わっていったとされている。

ただ、この理論の問題は、これら地球外からの物体が揮発性物質を地球の質量の約0.5%しかもたらしていないというところだ。そのため生命を構成するほとんどの元素は、地球の核が形成され、しばらく時間を経た後の、ある時点まで到着しなかったと考えられるという。

今回の新しい研究では、地球には生命に不可欠な揮発性元素がすべて、惑星形成の最初の段階から存在していた可能性が示されている。地球が熱く輝いていた形成期に、多くの揮発性物質は蒸発してしまったが、さらに多くの揮発性物質が今日でも残っていることを発見した。私たちの発見は、現在地球上に存在する揮発性物質のほとんどが地球形成の初期段階から残っている可能性が高いことを示唆している。

カルコゲンは研究するのに興味深いものだが、将来は窒素のような他の生命にとって重要な揮発性物質に注目する必要がある。そして、これらの揮発性物質が極限条件下でどのように挙動するかについてさらに研究を進めれば、地球形成の各成長段階で同位体がどのように挙動していたのかをさらに知ることができるだろう。

これらの結果は地球上の水の起源を追跡する別の研究と一致しているという。そして今後も研究を続けることで、地球の生命の起源についてのさらなる理解が得られる可能性があるとのことだ。

ちなみに、研究者らはこの考え方を適用することで、いくつかの太陽系外惑星について、そこが生命が存在するのに適しているかどうかを調べたいと考えているという。

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