楽しく、軽量で、手作りのスポーツカーをEV時代にも
モーガン、3輪電気自動車「XP-1」発表。過去の特徴をEV時代に引き継ぐ“試作車”
英国でクラシックなスポーツカーを作り続けているモーガン・モーター・カンパニーが、有名な3-Wheelerをモチーフとする3輪電気自動車「XP-1」を開発していると発表した。
モーガンは2年ほど前に欧州3輪スポーツカー「Super 3」を発売している。また、同社が2015年から2018年に販売したEV3という、登場するのが早すぎた3輪電気自動車もあった。
XP-1という名は、“実験用プロトタイプ1号車” という意味。まさにこれ1台の実験車両であり、少なくとも今の時点では残念ながら製品化の予定はない。
モーガンはこの車両が、同社初の量産電気モデル開発の前にエンジニアとデザイナーに必要な、また重要な情報を提供することを期待しており、製造に1年をかけた。そして今後18~24か月にわたってテストを行う計画だ。
モーガンのCTOであるマット・ホール氏は「XP-1を世界に公開し、モーガンの舞台裏で行われている一流のエンジニアリングの一端を紹介できることを大変誇りに思います。われわれが電動化の旅に乗り出すにあたり、このプロトタイプはエンジニアリングと設計プロセスの中心となり、豊富な知見を提供し、社内のEV開発能力を高める一助になるでしょう」と述べている。
ただ、XP-1にはこのままでも強い需要がありそうだ。車体はSuper 3をベースとしたものであると考えられ、デザイン、特にその顔つきにはEV3の面影もある。
インテリアはEV化のためにフレッシュされている。そして、デザイナーとエンジニアが、顧客がどのようにして車と接するか、また将来のスポーツカーで重要な車両情報として、何をどうやって伝えるかについて検討した結果、そのインパネにはバッテリーやモーターの温度などをグラフィック表示するディスプレイが据え付けられた。また、航続可能距離の上には4段階の走行モードを唐辛子で表現するという小洒落たデザインもある。
また、そのディスプレイの向こうには、このXP-1の最も重要な技術が詰まっている。これまでモーガンは、ハーレーダビッドソンやフォードからエンジンを得て自動車を開発してきたが、XP-1ではバッテリー、モーター、インバーターは、すべてモーガンが独自開発したものを採用する。そしてこれらは、将来のモーガン製EVに活用されていく予定だ。
つまりモーガンは、自社で作る車のどの駆動部品が、どの電動パワートレインに必要かをすべて把握し、航続距離を予測するアルゴリズムから唐辛子で表す走行モード各段の特性に至るまで、すべて意のままに味付けしていく自由を得ようとしていると考えられる。
現在、モーガンは電気自動車のノウハウ獲得に全力を注いでいる。XP-1の資料には「労働力の訓練とインフラの適応の広範なプロセス」を開始したと記されている。そしてこのプロトタイプで得た学びは将来「軽量、アナログ、魅力的」というモーガンの3原則を維持しつつ、同社のEV開発のカギになるだろう。
- Source: Mogan Motor Company
- via: Pistonheads