他国の10倍も通信コストがかかるため

Twitch、「韓国から撤退」を表明。韓国特有の高すぎる通信コストが原因

Image:Twitch

ライブ動画配信サービスのTwitchが、2024年2月27日で韓国でのビジネスを終了することを発表した。理由は現地でのサービス運営にかかるコストが高すぎるため。

Twitchは、韓国での配信においてP2Pモデルを試したり、配信における最大解像度を720pに制限するといった努力をしてきたものの、それでも他の国々よりも通信コストが10倍も高く、多額の損失を垂れ流した状態で事業を継続してきたとした。やむなく決定した韓国からの撤退は、あくまでこの国の特殊な事情によるものであることを、Twitchは強調している。

一方、韓国は国際的なeSportsの分野で特別な役割を果たし続けており、韓国がTwitch上に構築したコミュニティに非常に感謝しているとしている。そして、これまでコミュニティ構築に多大な時間と労力を費やしてきたTwitchストリーマーに対しては、受け皿となるサービスへの移行を支援する予定だとした。

韓国での通信コストの高さに悲鳴を上げているのはTwitchだけではない。たとえばNetflixも、この国での事業を続けていくために地元のサービスプロバイダーであるSK Broadbandと訴訟を繰り返したほか、最終的にはサービス料金を約13%も値上げしている。

では、なぜ韓国では通信料が他国の10倍と言われるほど高騰しているのか。それはこの国特有のインターネットトラフィック税が原因だ。Sending Party Network Pays(SPNP)モデルと呼ばれるこの仕組みは、テクノロジー企業がエンドユーザーに向けて配信するトラフィックに応じて、料金を徴収できる仕組みになっている。つまりISPエンドユーザーだけでなく、サービス提供側からも料金を徴収できることになる。

Twitchやその他の配信企業は、韓国のSPNPモデルと同様の仕組みが他の国に拡大する可能性を懸念している。たとえばインドは、ISPに有利になるよう電気通信関連の規則変更に関心を示しており、EUでも今年春より同様の規制について議論が行われている。

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