日本など国際展開に繋がるかも

アップルカード、提携先をJPモルガン・チェースに変更の可能性。高利回り預金は廃止?

Image:Primakov/Shutterstock.com

アップルは米金融大手ゴールドマン・サックスに対して、クレジットカード「アップルカード(Apple Card)」に関する提携を解消する提案を送ったと報じられていた。その役割を引き継ぐ金融機関につき、JPモルガン・チェース銀行が理想的なパートナーになる可能性があると著名ジャーナリストが主張している。

アップルの内情に精通するBloombergのMark Gurman記者は、ニュースレターPower On最新号にて、すでにチェース銀行がアップルといくつかの金融業務で協力しており、候補に上っているVisaやアメックスといったクレジットカード会社よりも「理にかなっている」と述べている。

具体的には、チェースはApple Pay初期パートナーの1つであり、アップルの約600億ドルもの現金の一部を預かっている。またチェースのクレジットカードには「Ultimate Rewards」というプログラムが用意され、そのポイントを使ってアップル製品も購入できる。

さらにアップルカードは、チェースも使っているMastercardネットワーク上にあるため、VISAやアメックスに切り替える必要もない。

アップルがカードの提携先を探していた当初、チェース、アメックス、シティグループは打診されながらも断った。だが、今や数々の困難を経て(主にゴールドマンの負担により)アップルカードは数百万人ものユーザーを獲得し、関連する普通預金口座には100億ドル以上の預金が存在している。

またアップルカードは、iPhoneのWalletアプリ内で最上位に位置しており、他のカードよりも優先的に使われている。4年前に断った金融機関も、考え直す可能性が高いというわけだ。

だが、もしもアップルがチェースと提携することになれば、高利回りの普通預金口座は廃止されるか、別の提携先を探す必要があるかもしれないとGurman氏は指摘している。チェースは年利4.15%もの利回りに匹敵するような貯蓄口座は提供していない。

その一方でテックメディアBGRは、チェースとの提携がアップルカードを国際展開するきっかけになる可能性があると述べている。

なぜなら、同行は2021年から消費者向けデジタルバンク業務を開始しており、そこからアップルカードの英国展開に繋がるかもしれないからだ。なおチェースは日本では、一般消費者向け口座を提供していない。

これまでアップルカードが米国内に限定されていたのは、ゴールドマンがそれ以外の国では消費者向け金融に消極的だったからだ(日本では企業向けサービスに特化)。アップルが提携パートナーを変えることで、日本での提供に繋がることを期待したいところだ。

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