アップル、Apple Cardにつきゴールドマン・サックスと提携解消を提案か

Image:Primakov/Shutterstock.com

アップルと米金融大手ゴールドマン・サックスは、クレジットカード「Apple Card」と普通預金口座「Apple Card Savings」での提携関係を解消すると、The Wall Street Journalほか複数のメディアが報じている。

これらの報道によると、アップルは「今後12~15か月以内に契約を終了する提案」をゴールドマンに送ったとのことだ。

今回の動きは、ゴールドマンがアップルとの提携解消を望んでいるとの報道に続くものだ。同社は消費者向け事情を大幅に縮小しているが、その中でもApple Card事業は莫大な赤字を出していた。2022年1~9月には12億ドル以上の税引前損失を計上しており、それらは主にApple Cardによるものだった。

アップルにとって、クレジットカードと普通預金口座はiPhoneに付加価値をもたらしつつ、サービス事業の急成長を後押しする足がかりである。同社が自ら、提携解消を望んだとは考えにくい。

だが、WSJはこの種のパートナーシップは加盟店(この場合はアップル)が支配的な役割を果たすと指摘。つまりゴールドマンが打診し、アップルがそれに応じて “提案” した可能性が高そうだ。

Apple Cardと普通預金口座が今後どうなるかは不明である。WSJと米CNBCともに、アップルが新たな提携先を見つけたのか、それとも金融商品の大きな変更を検討しているのか分からないとしている。

しかし、可能性はいくつかありそうだ。1つは、ゴールドマンがアメックス(アメリカン・エキスプレス)に引き継ぐよう交渉していたとの観測。WSJは以前もそう報じていたが、アメックスはApple Cardの損失率などを問題視したとのことで、話し合いが続いているかどうかは定かではない。

ちなみにApple Cardの損失率が高いのは、もっぱらアップルが門戸を広く開きすぎたからだろう。同社はほぼすべての申込者が承認されるよう働きかけ、ゴールドマンの貸し倒れを押し上げたとの報道もあった。

もう1つは、米シンクロニー・ファイナンシャルがApple Card事業を引き継ぐ可能性を検討しているという関係者の証言だ。シンクロニーは大手クレジットカード発行会社であり、もともとApple Card事業の入札でゴールドマンに競り負けた経緯がある。同社は長年にわたりハイテク企業との関係を確立しようとしており、主な提携先としてはAmazonやPayPalが名を連ねている。

なお今回の報道に対して、アップルはCNBCに次のような声明を出している。

アップルとゴールドマン・サックスは、お客様がより健全な金融生活を送れるよう、素晴らしい体験を提供することに注力している。受賞歴あるApple Cardは、消費者の皆様に大変好評を頂いており、今後も革新を続け、最高のツールとサービスを提供していく

「今後」に12か月~15か月も含まれるなら、今回の報道とは矛盾しないのだろう。

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