国内大手ブランドならではの安心感
日常で使い倒したいポータブル電源、ビクター「BN-RF1500/BN-RF510」レビュー
国内大手ブランド「ビクター」が手掛けるポータブル電源
ここ数年のキャンプブームもあり、年々注目度が高まっているのが「ポータブル電源」だ。大容量バッテリーを搭載し、AC(交流)コンセントやシガーソケット、USB端子からさまざまな家電やデジタル機器に給電できる。日本は災害大国でもあるので、停電時の非常用電源としても大いに役立つのが魅力だ。
ポータブル電源メーカーは数多いが、その中でも注目したいのが国内メーカーのJVCケンウッドだ。同社は2022年12月からビクターブランドでポータブル電源の企画から、設計、販売、サポートまで自社で行っている。今回はシリーズの特長に加えて、ハイパフォーマンスモデルの「BN-RF1500」と、2023年10月に発売したばかりのミディアムモデル「BN-RF510」の使い勝手を紹介したい。
充放電サイクル3,000回以上の長寿命。非常用だけでなく普段づかいにも
ビクターのポータブル電源の特長の一つが「長寿命」だ。ポータブル電源が出始めた頃に主流だった「三元系リチウムイオン充電池」は、充放電サイクルが500~800回程度のものが多い。ビクターはそれよりも長寿命な「リン酸鉄系リチウムイオン充電池」を採用しており、大容量モデルの「BN-RF1500/RF1100/RF800」は約3,000回、最新の「BN-RF510/RF250」は約4,000回まで充放電サイクルを強化した。そのため、非常用として備蓄しておくだけでなく、普段から家の中で使ったり、アウトドアや行楽などにも安心して活用できる。
ノートパソコンをはじめとするバッテリー内蔵機器は、充電しっぱなしだと「過充電」状態になってバッテリーが劣化してしまう場合がある。しかしビクターのモデルは「過充電」を防ぐ機能を搭載しているため、コンセントに挿しっぱなしでも大丈夫。普段から「常時接続」で使えるというわけだ。さらに、残量が減りすぎて電池性能が失われる可能性のある「過放電」を防いでくれるため、停電時などのいざというときにも備えておける。
不意の停電時に安心なのが「自動給電切り替え機能」だ。これは停電やブレーカーが落ちた場合に電気が遮断されると、ポータブル電源と接続してある家電に自動で給電してくれるというものだ。UPS(無停電電源装置)とは違って一時的に電力が途切れるものの、例えば冷蔵庫など、停電時でも動作し続けてほしい家電の電源をバックアップしてくれるのが便利だ。
ポータブル電源を選ぶ上で最も重要な要素になるのが「容量」と「定格出力」だ。容量が大きいほど長時間使用でき、定格出力が大きいほど使える家電が増える。ただし容量が増えるほど大きくて重くなり、可搬性は下がってしまう。そのため、緊急時のことを最優先して防災用途をメインに考えるなら大容量モデル、ふだんから家の中やアウトドアなどでも使いたいのであれば、容量と定格出力のバランスの良い中容量モデルがおすすめになる。
今回試用したミディアムモデルの「BN-RF510」とハイパフォーマンスモデルの「BN-RF1500」はどちらもクリーム色の筐体を採用しており、インテリアにもなじむような印象を受ける。グッドデザイン賞も受賞しているとのことだ。
前述したように、過充電防止機能によってコンセントに挿しっぱなしでも安心して使用でき、インテリアにもなじむデザインなので、普段からリビングのコンセントに挿して本機を充電しつつ、本機を経由する形で各種家電へ電気を供給するといった使い方もアリだろう。
消費電力の高い調理家電も使える大容量モデル「BN-RF1500」
「BN-RF1500」は最もパワフルに活躍する容量1,536Whの最上位モデルだ。定格出力は1,500Wなので、ドライヤー(最大1,500W)や電気ケトル(800~1,200W程度)なども含めてほとんどの家電を接続して利用できる。197Wの冷蔵庫なら約31時間使用可能だという。近年は都市部でも雷で長時間の停電が起こるケースも見られるが、そうした場合への備えとしても安心感が増す。
もちろん、家の中だけでなく外に持ち出すことも可能。消費電力の高い家電を使えるので、筆者自宅からほど近い砂浜でグランピング気分を味わってみることにした。IHクッキングヒーター(1,000W)でアヒージョを作ってみたが、油がはねない程度の火力にすると350W程度で、残り時間の目安は約4時間と表示された。調理にフルパワーを使うことは少ないので、火を使わずに家電だけで料理を作るグランピングも十分にできそうだ。
今回試用したモデルはどちらも防じん防水ではないが、BN-RF1500は端子にカバーが付いているため、ホコリなどの侵入を防いでくれるのも頼もしい。約21.6kgと、気軽に持ち運べる重さではないものの、自動車で運べばさまざまな場所で活躍できるだろう。
可搬性が高くて「ノマドワーク」なども楽しめる「BN-RF510」
BN-RF510は、容量512Whで定格出力600Wの中容量モデルだ。こちらは先ほどのIHクッキングヒーターをフルパワーにはできないものの、火力を下げれば十分に使えた。
まずは車中泊の使い方を試してみることにした。筆者が使っている車はワゴン車なので、後席シートを倒せば車中泊もできる。寝袋を開いて敷いて電気毛布を掛ければ準備完了だ。電気毛布は最大60Wなので、公式サイトではフルパワーでも約6.5時間使用可能だと案内されている。中くらいの出力でLEDランタンとタブレットを接続してみたが、消費電力は約15Wと低く、残り時間は約27.1時間と表示された。これなら冬の夜長にWebサイトを見たりネット動画を見たりしながらゆっくりと過ごせるだろう。また、家の中での使用シーンを考えても、例えばエアコンで部屋全体を温める必要がなく電気毛布で充分というようなケースなどでも活躍してくれそうだ。
BN-RF510は容量と出力、重さのバランスの良さが大きな魅力だと感じる。約6.7kgと軽いため、多くの人が片手でひょいと持ち運べる。BN-RF1500を使ってみた後に持つと拍子抜けするくらいに軽く感じる。
天気のいい日にポータブル電源を持ち出せば、ノートパソコンやタブレットなどを使って“ノマドワーク”も楽しめる。最近は在宅ワークから通勤に戻している企業も多いようだが、まだまだ在宅中心の会社も少なくない。自宅仕事に息が詰まったら、パソコンを持ち出して外で仕事をするのも楽しいだろう。AC出力(コンセント)が3つ、USB出力が3つ、PD(Power Delivery)対応のUSB Type-C出力(最大100W)、DC出力(シガーソケット)もあるので、あれもこれもと多くの機器を持っていっても大丈夫だ。
ポータブル電源はノートパソコンなどのバッテリー内蔵機器との親和性が高いことを強く感じた。元々バッテリー駆動を基本に設計されているため消費電力は比較的低いことに加えて、充電時の消費電力も決して高くない。3つの機器を接続し、明るい太陽の下でバックライトを最大にしても消費電力は50Wに満たなかったので、日中ずっとノマドワークするというのも十分できるだろう。
BN-RF510は持ち運びがしやすく、家電やデジタル機器をいつでもどこでも使える魅力を存分に味わうことができた。部屋に常設して日常生活でも活用しつつ、どこにでも持ち出せるのでキャンプやバーベキューなどのアウトドアもより楽しめるだろう。災害時の備えとしてもいいが、やはりせっかくならよりアクティブに楽しみたいものだ。
(提供:JVCケンウッド)
- Source: Victor