研究者は検証の実験を計画中

赤ワインを飲むと頭痛がする? 新たな研究で理由判明か

Image:Day Of Victory Studio/Shutterstock.com

赤ワインを飲むと、特に飲み過ぎたわけでもないのに頭が痛くなった経験を持っている人は世の中にたくさんいるようだ。月曜日に科学誌Scientific Reportsに発表された新しい研究によると、その原因は赤ワインに含まれる成分であるフラボノイドの可能性が示された。フラボノイドはポリフェノールの一種で、多くの植物に含まれる化合物の一群を指す。

研究の共著者でワインを専門とするカリフォルニア大学デービス校の化学者、アンドリュー・ウォーターハウス氏らのチームは、アルコールに関連する生物学的特性に基づいて、赤ワインに含まれるフラボノイドが頭痛を引き起こす可能性があると理論付けた。

ウォーターハウス氏は「フラボノイドが血流内に入ると、ケルセチングルクロニドと呼ばれる成分に変化し、アルコールの代謝を阻害する」のだと説明、その結果として、炎症性の毒素であるアセトアルデヒドが体内に蓄積され、顔が赤くなり、頭痛や吐き気を起こす可能性が高くなるとのことだ。アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質として知られている。

たとえば、アジア系の人々は比較的少量のアルコール摂取でも顔が赤くなったり、蕁麻疹、吐き気や偏頭痛などの症状が出やすい。これは遺伝的な要因により、アルコール代謝における有毒な副産物であるアセトアルデヒドを分解するためのALDH2と呼ばれる酵素が生成されなかったり、働きが弱かったりするためだ。

研究チームは、このALDH2酵素の生成を、ケルセチンの副産物が阻害することを発見した。通常のグラス一杯分の一般的な赤ワインなら、ALDH2による効果を約37%弱めるのに十分なケルセチンが含まれると研究では推定している。

なお、研究者らは赤ワインによって起こる頭痛の原因はこれだけではないと考えている。人によっては、アセトアルデヒドへの反応やケルセチンの分解の過程その他の複合的要員で、この症状の出かたが異なる可能性もあるだろう。

赤ワインに起因する頭痛は、飲み過ぎによる二日酔いの頭痛とは異なり、通常はワインを1〜2杯飲んだだけで、30分から3時間後に始まる。また、ワインによってその中に含まれるケルセチンの量は大きく異なり、原料であるぶどうが栽培時に受けた日光の量や、ワインの製造方法などによって、最終的な含有量が変わる可能性があるという。

ウォーターハウス氏は、たとえば「葡萄の房を露出させて育てた場合、そうでないぶどうに比べ、ケルセチンの量ははるかに多くなり、その差は場合によって4〜5倍にもなることがある」と述べている。

研究チームは、今回の研究で得た理論を確認するため、ケルセチン含有量の異なる複数の赤ワインを用意し、それらに対する人々の反応を比較する実験を計画中だとしている。これにより、なぜ一部の人々がこれらの頭痛を起こしやすいのか、そしてケルセチンまたはアセトアルデヒドが、本当にこれらの効果を和らげるための主要なターゲットとなる物質であるかを判断したいとしている。

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