Google最大の収入源はネット広告ビジネス
Google Chrome、広告ブロッカーの制限強化を2024年6月から開始
Googleは広告ブロッカーの制限を強化する拡張機能規格「Manifest V3」につき、導入計画を再開すると発表した。諸方面からの批判を受けて一時停止していたが、再び現在の規格Manifest V2を廃止する計画を2024年6月から再開し、2025年6月にはManifest V3に完全移行する予定とのことだ。
このManifest V3は2020年、Googleが「セキュリティ、プライバシー、パフォーマンス」を向上するためとして発表したもの。当初、Manifest V2完全廃止に向けたステップが2023年1月に始まる予定だったが、一時停止されていた次第だ。
ただし、反発が強かったためか、Manifest V3の仕様は一部変更されている。その1つが、広告ブロック拡張機能が使うDeclarative Net Request APIにつき「コンテンツフィルタリングサポートを改善」したことだ。
かつてGoogleは、セキュリティ上の理由から本APIに制限を設けようとしていた。これはChrome以外に、Microsoft Edgeを含む全てのChromiumベースのブラウザで広告ブロック機能を無効化する可能性もあった。
また「新しいユーザースクリプトAPIの追加」により、スクリプトの読み込みや実行に関する規制も緩和された。いずれも広告ブロッカーには必須の機能であり、Googleは大幅に譲歩したと言っていいだろう。
こうした変更に対して、広告ブロッカー開発者らの反応は概ね好意的だ。たとえばAdGuardのCTO(最高技術責任者)であるAndrey Meshkov氏はブログにて、「機能のごく一部は失われるが、Manifest V2で実証したのとほぼ同じ品質のフィルタリングが提供できるはずだ」と述べている。
しかし、電子フロンティア財団のAlexei Miagko氏の見解は、より辛らつだ。有益な変更だとは認めつつ、「制約あるシステムの中での微調整に過ぎない」という。拡張機能がイノベーションを起こせなければ、ユーザーは損をし、トラッカー(ターゲティング広告)が勝つ」とのことだ。
Googleが収益のほとんどを広告ビジネスから得ている以上、同社が広告ブロッカーに対して好意的であるわけがない。それでもユーザーは、Googleが提供するChromeを使わざるを得ないというジレンマがある。
Google傘下のYouTubeも最近、「広告ブロック禁止」を世界的に強化している。今後、ユーザーが「広告を見ない自由」を守り続けるのは難しいかもしれない。