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NASAの観測機器が750か所以上の温室効果ガス発生源を特定

Image:NASA/JPL-Caltech

2022年7月にISSに送られた地球表面鉱物ダスト源調査(EMIT)機器は、当初の用途範囲を超えてさらなる能力を発揮している。

EMITはもともと、宇宙空間から地球表面を見下ろし、そこにある10種類の主要な鉱物の分布図作成と、これらが地球の気候にどのような影響を及ぼすのかを調査することが目的だった。だが科学者らは、この画像分光機器が取得したデータから、メタンなどの温室効果ガスの発生源を特定できることに気づいた。

そして現在、このデータは地上の埋め立て地、農地、石油・ガス施設などからのメタン発生源を含む、750を超える温室効果ガス排出ポイントを特定するためにも使われている。

EMITの観測では、1時間あたり数百ポンドほどの小規模なものから、数万ポンドものメタンを噴出する大規模発生源まで、大小様々な発生源を特定することができた。宇宙から観測できた最も大きな発生源のひとつは、南ウズベキスタンにあるほとんど研究されていない地域にあり、1時間あたり約4万9734ポンド(約2万2600kg)のメタンを発生していた。一方小さな発生源としては、リビア東南部で1時間あたり979ポンド(約444kg)を排出しているポイントがあることがわかったという。

Image ::NASA/JPL-Caltech

気候変動の要因として話題になることはあまりないが、メタンは同量で比較すれば、熱を地球に閉じ込める能力がCO2の最大80倍もある。そのため、排出源を特定・把握できれば、科学者や技術者が有害な排出を制限する戦略を立てるのにもいつか役立つはずだ。

これまでは、こうしたメタン発生源を特定する危機は航空機からの観測で用いられてきた。しかし、高度が低いため、狭い範囲を短時間しか観測できず、取得できたデータの有効性も相対的に低いものにならざるを得なかった。

EMITの画像分光計は、地表を80km×80kmのマス目に区切って観測するが、それでも航空機の観測された既存のメタン発生源を60~80%検出することができたとのことだ。また、ISSからの観測では上空約400kmから30日間にわたって広範囲を見渡すことができたため、航空機による典型的なメタン検出の飛行では到底カバーできない広範囲のデータが得られたという。

今回Science Advances誌に掲載された論文の筆頭著者であるアンドリュー・ソープ氏は、「われわれは当初、この装置を使って何ができるかについて少し慎重に考えていたが、それは私たちの予想を上回るものだった」と述べている。

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