Epic対Google裁判の証言より

Spotify、Googleと「Playストア手数料大幅軽減」の特別契約を結んでいると報じられる

Image:Mykolastock/Shutterstock.com

現在、GoogleはEpic Gamesとの間でゲーム『Fortnite』における料金支払い手数料徴収に端を発する裁判が進行中だが、新たな証言によると、Googleは音楽ストリーミングサービスSpotifyがAndroidアプリ~Google Playストアを通じた収益からは4%しか手数料、いわゆるストア税を徴収していないことが明らかになった。また、ユーザーがPlayストア経由ではなくSpotify独自の決済システムを使用した場合、Googleは手数料を取っていないこともわかった。

2022年に開始されたGoogleのUser Choice Billingプログラムでは、開発者が独自の支払いシステムを使用する場合、通常なら支払額の15%が徴収されるGoogleのPlayストア手数料が約4%差し引かれ、約11%まで引き下げると説明されている。

しかし、差し引かれる手数料が4%では、開発者が独自に決済システムを維持するコストを考えるとほとんどメリットがないとの指摘もある。そのためGoogleは、この徴収率設定についてはコスト削減よりも運用の柔軟性で利点があると説明した。

Googleのグローバル・パートナーシップ責任者のドン・ハリソン氏は、Spotifyは「前例のない」ほどの人気を誇るとし、「音楽を聴くことは(スマートフォンの)主要な目的の一つであるため、再生サービスと中核的サービス間でSpotifyが適切に機能しなければ、人々はAndroidスマートフォンを買わないだろう」と述べた。

そしてそれは「オーダーメイド」の契約を正当化するのに十分なものがあったと説明し、特別な合意の一環としてSpotifyとGoogleは、おそらくユーザーエクスペリエンスを向上させるための共同イニシアチブやプロジェクトの支援を目的とした「success fund(成功基金)」にそれぞれ5000万ドルを拠出することにも同意したという。

Google広報はハリソン氏の証言を認め、「AndroidとPlayに直接投資する少数の開発者は、多額の財務投資やさまざまなフォームファクターにわたる製品の統合を含む広範なパートナーシップの一環として、異なるサービス料金を設定する可能性がある」と述べた。そして「これらの重要な投資パートナーシップにより、すべてのユーザーのエクスペリエンスを継続的に改善し、すべての開発者に新たな機会を生み出すことで、より多くのユーザーをAndroidとPlayストアに呼び込むことができる」とした。

ということは、GoogleはSpotifyの他にも同様に特別な契約を結んでいる可能性があるということになる。たとえばGoogleは過去、Netflixにストア税を10%にする特別なオファーをしたことがあるが、これについてはNetflix側が拒否し、アプリ(ストア)経由決済を削除し、独自の料金徴収システムに一本化した。

Spotifyは、Epicが始めたGoogleやアップルのApp Storeがアプリ開発者から徴収する手数料との闘争において、当初はEpicを支援する立場をとっていた。しかし2022年に(上で述べた)User Choice Billingプログラムが開始されると、Spotifyはその初期テスターとしてプログラムに参加したことが伝えられていた。つまりSpotifyはEpicの法廷闘争を支援するよりも、コスト面のメリットを得つつ争いごとから離脱する道を選択したと言えるかもしれない。

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