「1000年後も残る」はずだった
Twitter、埋込みツイートの仕様をサイレント変更か?削除ツイートが空欄表示に
Twitterは、長年拒絶してきた投稿済みツイートの編集機能開発に着手するなど、ここ数週間でその方針を大きく変更しているようだ。
新たな報告では、第三者のウェブサイトへのツイート埋め込み機能に、いつの間にか変更が加わっていることが伝えられている。
3月29日、TwitterユーザーのKevin Marks氏は第三者のウェブサイトにツイートを貼り付けて表示するための埋め込み用コードに修正を加え、削除したツイートはその内容が白紙表示されるようになったと指摘した。
Twitterはこれまでも、ツイートを削除すること自体はできた。だが政治家や著名人、一部の一般人など影響力ある人物の発言は、後でなんらかの問題が生じたときの記録として扱うことを考慮し、 たとえそれらの元ツイートが削除されたとしても、表示され続けるようになっていた。
しかし記事執筆時点では、Twitterはこのテキスト部分を表示するjavascriptを変更したのか、削除されたツイートのテキストがプレースホルダー表示になっている。これはつまり、ニュースサイトやその他の、ツイートを記事に埋め込んで利用してきた無数のウェブサイトにおいて、多くのツイートがただの空白になっている可能性があるということだ。埋め込まれたツイートが表示されなくなれば、その記事の文脈を意図通りに伝えられなくなるかもしれない。
たとえば米国のドナルド・トランプ前大統領のツイートは、日々、報道機関の記事に埋め込まれ、引用されていた。トランプ氏は米議会への暴動を煽るツイートがTwitterのポリシー違反とされ、それ以上に社会的にも問題視された結果、大手SNSの大半からアカウント停止の処分を受けるに至った。Twitter上ではもはやそのツイートを見ることはできないが、ウェブサイトに埋め込まれたトランプ氏のツイートは、その後も記事上で閲覧することができていた。
Twitterの元エンジニアで、2011年に埋め込みツイートの仕様決定に際して「たとえ削除されようが、1000年経とうが、そのテキストは残る」と説明していたBen Ward氏は、Marks氏の指摘に対して、元ツイートが削除された埋め込みツイートが「このツイートは削除されました、または利用できなくなりましたなどのキャプションもなく、プレースホルダの読み込み途中でロックされている」ように見えるため、これはバグではないかとの考えを返答した。
しかしその後、TwitterのプロダクトマネージャーEleanor Harding氏は、Marks氏の指摘に対し、この変更が「人々が自分のツイートを削除したいと考えたことに対し、より敬意を払うため」行われたと述べた。
Harding氏の言うことが正しいのなら、Twitterは意図して埋め込みツイートの仕様を変更したことになる。米Engadgetは、Twitter広報がこの件についてコメントを拒否したと伝えている 。
この変更は、過去Twitterの主要幹部がたびたび述べてきた、ツイートが一種の公文書として機能することの重要性と、それを維持する必要性という主張と矛盾していると考えられる。2018年には、Twitterの当時のCEOジャック・ドーシー氏も公共記録としての役割について「それを維持していくことが真に重要だ」と述べていた。
ちなみに、Twitterの開発者向けヘルプページには、埋め込んだツイートの元ツイートが削除された場合は、埋め込みコード内のblockquoteタグによって引用・転載文としてツイートの本文が表示されるようになっていると記されている。
そのため、ウェブブラウザーの設定でjavascriptをオフにすれば、今回の変更(もしくはバグ)で空白表示になった埋め込みツイートも、引用文としてツイート内容が表示される。
埋め込みコードには元ツイートの本文テキストがすべて含まれているので、もし今、それが表示されなくなっていても、ツイート内容がまったく消え去ってしまったわけではない。
- Source: Kevin Marks
- via: Engadget